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8-Jan-2025
ガラス形成液体の遅いダイナミクスの微視的機構の解明
Institute of Industrial Science, The University of TokyoPeer-Reviewed Publication
東京大学 先端科学技術研究センター 田中 肇 シニアプログラム
アドバイザー(特任研究員)/東京大学名誉教授(研究開始当時:生産技術研究所教授)と同大学工学系研究科 物理工学専攻 石野 誠一郎 博士課程学生(研究当時)、松山湖材料研究所フ― ユアンチャオ 教授(研究開始当時:生産技術研究所 学振外国人特別研究員)の研究グループは、ガラス形成液体のモデルを用いた数値解析により、基本的な粒子再配置モード「T1プロセス」が液体の構造秩序と動的挙動にどのように影響するかを解明しました。
液体の構造秩序と動的挙動の微視的レベルでの関係を示す初の研究であり、
液体に形成される秩序を維持するT1プロセスが、協同的なダイナミクスのカギを握っていることを示した点に新規性があります。
ガラス形成物質のダイナミクス制御に新しい視点を提供し、より効率的な
材料設計やガラスの製造プロセスの改善に貢献することが期待されます。
- Journal
- Nature Materials
7-Jan-2025
肥満予防の生理活性タンパクの発見
Kumamoto UniversityPeer-Reviewed Publication
熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科学講座/熊本大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科の阪口雅司助教、岡川章太研究生、窪田直人教授および荒木栄一名誉教授らのグループは、肝臓由来のタンパク「SerpinA1」が、褐色脂肪組織の活性化や白色脂肪の褐色化(ベージュ化)を誘導し、エネルギー代謝を改善することを明らかにしました。SerpinA1は脂肪細胞表面EphB2注2と相互作用して、ミトコンドリアで熱産生を行うUCP1注3の発現を促進し、褐色および白色脂肪細胞のミトコンドリアの活性化を起こします。この研究は、肥満と肝臓障害の関連を明らかにし、メタボリックシンドロームの迅速診断と治療への新しい道筋をつけるものです。
本研究成果は、日本時間2024年11月12日(火)19 時(ロンドン時間 11月12日(火)10時)に、Springer Nature社が刊行する科学学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
- Journal
- Nature Communications
- Funder
- Japan Society for the Promotion of Science, Japan Association for Diabetes Education and Care, Kumamoto University Hospital Research Revitalization Project (2023), Manpei Suzuki Diabetes Foundation, Japan Society for the Study ofObesity, Novo Nordisk Pharma, Astellas Foundation for Research on Metabolic Disorders, Center for Metabolic Regulation of Healthy Aging, Japan Agency for Medical Research and Development, Japan Foundation for Applied Enzymology, NIH grant
7-Jan-2025
肌の乾燥に寄与する視覚的手がかりは何か?
Toyohashi University of Technology (TUT)Peer-Reviewed Publication
豊橋技術科学大学情報・知能工学系認知神経工学研究室と視覚認知情報学研究室、九州大学大学院芸術工学研究院メディアデザイン部門、ピアス株式会社中央研究所から成る研究チームは、肌の潤い・乾燥に寄与する視覚的手がかりを明らかにするため,どのような画像操作をすると肌の視覚的潤い感が変化するかを心理物理実験によって検証しました。その結果、肌の明るさの高空間周波数成分の強調によって、視覚的潤い感が減少することがわかりました。このような見た目の変化は、皮膚の乾燥による白い筋の出現や毛穴の強調といった、乾燥に伴う皮膚の生理学的現象とよく似ており、これらを手がかりとして肌の乾燥を知覚しているのではないかと考えられます。この研究の結果は、2024年12月17日付でJournal of the Optical Society of America A誌上に発表されました(https://doi.org/10.1364/JOSAA.536898)。
- Journal
- Journal of the Optical Society of America A (JOSA)
- Funder
- JSPS Grants-in-Aid for Scientific Research, JSPS Grants-in-Aid for Scientific Research, JSPS Grants-in-Aid for Scientific Research
6-Jan-2025
高調波発生を用いて金属の異方性を可視化
Yokohama National UniversityPeer-Reviewed Publication
横浜国立大学の片山郁文教授らの研究グループは、軽量な構造材料として知られる金属チタンの単結晶に赤外線短パルスレーザーを照射することによって、入射波の3倍、5倍のエネルギーを持つ高調波が発生することを見出しました。
- Journal
- Communications Physics
- Funder
- Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Research Center for Biomedical Engineering, Light Metal Educational Foundation, The Japan Institute of Metals and Materials
6-Jan-2025
OISTの数学者軍団が、自然現象予測やがん早期発見のための新しい数学に挑む
Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の数学者たちは、がんを早期に発見する新しいアプローチを開発しています。この技術は、偏微分方程式を解くことによってがんに対する強力なツールを提供できる可能性があります。
解析と偏微分方程式ユニットを率いるアブドゥラ教授は、OISTを世界をリードする数学研究の拠点にするという目標を持ってOISTに加わりました。「私たちは、OISTを数学の知識を世界に発信する拠点にしたいと考えています。提携機関との共同研究を通じて、世界中のさまざまな地域とつながり、知識を共有し、博士課程の学生に数学の最前線で最先端の問題に取り組む機会を提供したいと考えています。」
2-Jan-2025
この数十年間で、カナダの森林では深刻な山火事が発生しやすくなっている
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
気候変動によってカナダではより激しい山火事が発生しており、特にこの数十年間で、燃料の乾燥と気温の上昇によって火災の深刻度が増していることが新たなモデル研究から明らかになった。この研究結果は、気候変動が山火事の挙動へ及ぼす影響が増大しており、最も深刻な影響がカナダ北部の森林に集中していることを明確に示している。北半球の中でも特に森林面積が広く火災が発生しやすい地域の1つであるカナダは、気候変動の進展によってますます深刻になり長期化している山火事シーズンの問題に取り組んでいる。2023年は記録的な山火事シーズンとなり、過去平均の7倍を超える面積が消失した。火災深刻度(burn severityまたはfire severity)は、山火事による生態学的影響の評価に用いる重要な指標であり、生態系の応答や地域一帯の回復力、火災の管理戦略についての情報を与えてくれる。ところが火災深刻度の包括的な全国規模のモデル化およびその重要な要素は依然として限られており、科学者らの長期的かつ時間解像度の高い(1日単位などの)推定を行う能力が問われている。これらの不足に対処することは、カナダ辺境の広大な森林における山火事のダイナミクスを気候変動がどう形作るのかを理解するために極めて重要である。Weiwei Wangらは、40年分の山火事の時空間データを統合して多項ロジスティック回帰(MLR)モデルを構築し、カナダの10の生物地理区で火災深刻度に影響を及ぼしている要素について調査した。その結果、燃料の乾燥状態 ―― 可燃性植生の量と湿度 ―― が、森林火災の火災深刻度における最も重要な要因であること、さらに夏季には深刻な火災がより発生しやすいことが明らかになった。最も深刻な火災条件がこの20年間で発生していた。解析から、カナダの異なる地域では各要素による影響に差異があることも明らかになった。カナダ北部では主に気候変動に起因する火災深刻度の顕著な増大があったのに対し、カナダ南部では燃料の乾燥と植生の種類がより重要な役割を果たしていた。関連するPerspectiveでJianbang Ganは、「生態学的観点からすると、北方林での火災活動の増加は、特に世界の北部地域において、重要な二酸化炭素吸収源として働く生物群系の健全性と機能への重大な懸念を引き起こしている」と述べている。「全世界の北方林の93%が米国、カナダ、ロシアにあり、北半球のこうした貴重な生態系を守りながら火災を効果的に管理するには、これら三国間の協力が必要である。」
この論文にご興味のある記者の方へ:2024年10月にScienceに掲載されたJonesらの論文では、気候と連動する植生ダイナミクスがどのように全世界の非熱帯地域における2001~2023年の森林火災による炭素排出の主要な要素となっていたかが示されています。また、2024年10月にScienceに掲載されたBalchらによる別の論文では、米国全土における山火事の拡大速度と強度が2001~2020年に大幅に上昇したことが示されています。
- Journal
- Science
26-Dec-2024
魚に優しい歯型採取 - 非致死的な口腔研究が可能な新方法
Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate UniversityPeer-Reviewed Publication
魚を含む脊椎動物の歯を、生きたまま傷つけることなく、(時間を置いて)何度も調べることが可能になりました。
これまでの方法では、正確な情報を得るために小動物を安楽死させる必要がありましたが、研究チームは、脊椎動物の歯の特性を人道的に詳しく研究する新たな方法を開発しました。このカスタマイズ可能な方法は、生きた動物にも、博物館の標本にも用いることができます。研究成果は、学術誌『Journal of Morphology』に掲載されました。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の共同研究チームは、ヒトの歯型採取技術をポリプテルス・セネガルス(Polypterus senegalus)と呼ばれる魚の歯の研究に応用しました。この魚は、約3億6000万年前から他の魚類から隔離されてきました。ポリプテルスには、進化の過程で長期間隔離されていたために、原始的な特徴が多く残っており、硬骨魚類の初期の進化に関する重要な情報が得られます。
- Journal
- Journal of Morphology
- Funder
- Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University
24-Dec-2024
脆弱X症候群マウスモデルにおいて、ブメタニド治療が早期社会的コミュニケーションを回復させることを画期的研究が解明
Genomic PressPeer-Reviewed Publication
画期的なゲノミック・プレス・インタビューによると、出生前のブメタニド投与が、脆弱X症候群のコンジェニックマウスモデルにおける新生児期の社会的コミュニケーションの異常を改善することが明らかになりました。しかし、後期の社会的行動に予期せぬ影響を示したことから、発達メカニズムの違いと介入タイミングの重要性が浮き彫りとなりました。
- Journal
- Genomic Psychiatry
- Funder
- NIH/National Institute of Mental Health, NIH/Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development, NIH/Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development, Japan Society for the Promotion of Science, Hirosaki Institute of Neuroscience, Japan
19-Dec-2024
季節性インフルエンザワクチンの研究から、ワクチン反応における宿主の遺伝的特性が果たす役割と、ワクチンを改良する方法が明らかに
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
特定の複数のウイルスサブタイプに由来するウイルス株を含有した季節性インフルエンザワクチンの接種を受けた多くの人は、1つのウイルス株に対する強力な免疫反応を得るが、他のウイルス株による感染は防げず、研究者たちはこうした免疫反応の違いにさらなる影響を及ぼすものは何なのか、宿主の遺伝的特性なのか、それともウイルス株への過去の曝露なのかについて、長年にわたって頭を悩ませてきた。今回研究者らは、インフルエンザワクチンへの反応におけるこうした個々の差をもたらすのは、宿主の遺伝的特性が最も強力な因子であると報告している。この研究はまた、新たなワクチンプラットフォームも提示しており、動物モデルやヒトオルガノイドで検証したところ、多様なインフルエンザサブタイプに対する防御作用を高めることが示されている。インフルエンザは、毎年世界で数十万人の命を奪い、数百万件もの入院の原因となっていることから、世界的に甚大な健康上の負担であることが示されている。ヒトにおける感染は、主にA型インフルエンザ(H1N1およびH3N2)およびB型(Victoria系およびYamagata系)の特定のウイルスサブタイプによって引き起こされ、それぞれ複数のウイルス株を含有している。しかし、ワクチン接種を受けた多くの人は、含有された複数のウイルス株のうち1つの株に対してより強い反応を示し、こうして他のウイルス株に対する反応は弱くなる。「抗原原罪(OAS)」として知られる現象は、最初に曝露されたインフルエンザ株に対する免疫系の記憶が、その後に受けたワクチンに対する反応をいかに歪め、その効果を低める可能性があるかを示すものである。さらに、ヒト白血球抗原(HLA)系における遺伝子変異は、個々の人においてワクチン抗原にいかに反応し、いかにこれを提示するかを決定することで、その後の免疫反応に影響を及ぼす。インフルエンザワクチンの効果に対して、ウイルス株への過去の曝露と宿主の遺伝的特性がそれぞれどのように寄与するのかについては、あまり理解されていない。この疑問に取り組むため、Vamsee Mallajosyulaらは一卵性双生児、ワクチン接種を受けた乳児、およびマウスモデルにおける抗体反応について分析した。その結果、インフルエンザサブタイプに対する反応の偏りは主として宿主の遺伝的特性、とりわけ主要組織適合性複合体(MHC)クラスII多型が引き起こすのであり、過去の曝露は二次的な役割を果たしていることが分かった。次いでMallajosyulaらは、CD4+ T細胞活性を増強し、より広い抗体反応を惹起するスキャフォールドを介して、異なるウイルス株に由来する異種抗原を組み合わせる方法を開発した。マウスとヒトの扁桃腺オルガノイドで検証したところ、複数のウイルス株に対する抗体の産生が増加することが示され、この結果から、上記のプラットフォームには、鳥インフルエンザウイルス株を含め、ワクチンの有効性を高める可能性があることが実証された。
- Journal
- Science