image: Insilico Medicine(“Insilico”), a clinical-stage generative artificial intelligence (AI)-driven drug discovery company, recently achieved preclinical milestone in its collaboration with Therasid Bioscience, a South Korean based biotechnology company focuses on developing innovative first-in-class drugs for treatment for metabolic dysfunction-associated steatohepatitis (MASH).
MASH is a leading cause of chronic liver disease and a significant driver of liver cirrhosis and hepatic cellular carcinoma, impacting approximately 5% of adults worldwide. Despite its widespread prevalence and serious complications, there are currently no globally approved pharmacological therapies specifically targeting MASH.
In this collaboration, Insilico successfully optimized a series of compounds provided by Therasid Bioscience targeting a challenge protein, with a focus on improving ADMET properties. By leveraging its proprietary AI-powered generative chemistry engine, Chemistry42, Insilico's team synthesized and tested approximately 40 molecules within only 4 months, ultimately identifying candidate compounds with highly satisfactory properties.
Moving forward, the molecule will undergo further development by Therasid Bioscience, including in vivo and in vitro validation. These efforts will pave the way for the molecule to be nominated as the preclinical candidate, laying a solid foundation for future therapeutic innovation to address this critical unmet medical need.
Credit: Insilico Medicine
MASHは慢性肝疾患の主要な原因の1つであり、肝硬変や肝細胞がんを引き起こす大きな要因ともなっています。この疾患は世界における成人の約5%に影響を与える一方で、その広範な蔓延と深刻な合併症にもかかわらず、MASHを特異的に狙った治療薬は現時点で世界的に承認されていません。
今回の協力において、インシリコは、Therasid Bioscienceが提供する一連の化合物を最適化し、課題となるタンパク質をターゲットにADMET(吸収、分布、代謝、排泄、毒性)の特性の向上に重点を置きました。同社独自のAI駆動生成化学エンジンであるChemistry42を活用し、インシリコのチームは約4か月間で約40種類の分子を合成・テストし、最終的に高度に満足のいく特性を持つ候補化合物を特定することに成功しました。
今後、この分子はTherasid Bioscienceによるさらなる研究開発が進められ、体内(in vivo)および体外(in vitro)検証を含む次の段階に進みます。これらの取り組みにより、その分子が臨床前候補として指名される道が開かれ、この未解決の重要な医療ニーズに対応するための治療法革新の基盤が築かれます。
Therasid BioscienceのCEOであるJay H.J. Kim氏は次のように述べています。「インシリコとの協力を通じて達成された著しい進展に非常に感激しています。これまで、さまざまなアプローチを模索し、1000を超える化合物をテストしましたが、著しいポテンシャルを持つ分子を見出すことができませんでした。しかし、AIを統合することで、インシリコは非常に短期間で有望なADMET特性を持つ分子の最適化を完了しました。この成果は、AIと先進的なバイオテクノロジーの専門知識を結び付けることで生まれる変革的な影響を実証しています。」
インシリコ・メディシンの共同最高経営責任者(Co-CEO)兼最高科学責任者(CSO)である任峰(フェン・レン)博士は次のように述べています。「Therasidと協力し、MASH治療プログラムの迅速な進展を支援できたことを誇りに思います。これは、薬物開発を加速させるうえでAIの力がいかに重要であるかを浮き彫りにしています。インシリコでは、社内および共同プログラムを効率的かつ効果的に進めることに全力を尽くしており、このマイルストーンは、当社のAIプラットフォームが画期的なソリューションを実現する能力を備えていることを示しています。Therasidがこれらの有望な薬剤候補を次の開発段階に進めていくことを楽しみにしています。」
インシリコはこれまでにも、自社独自のAIプラットフォームが小分子薬剤探索・開発の初期段階において、コストを大幅に削減すると同時に効率を向上させる能力を示してきました。2021年以降、同社はAIプラットフォームPharma.AIを活用し、30の完全所有資産から成るパイプラインを構築しました。そのうち10の候補が治験届(IND)承認を受けており、AI駆動型薬剤探索・開発の基準となっています。
最先端のAI技術および自動化技術を統合することで、インシリコ・メディシンは従来の薬剤探索方法(通常は2.5~4年が必要)と比較して大幅な効率向上を達成しました。2021年から2024年にかけての内部薬剤候補(DC: Drug Candidate)プログラムに関する最近の主要タイムラインベンチマーク発表では、インシリコの実績として、薬剤候補(DC)までの平均期間がわずか12~18か月、1プログラムあたり60~200種類の分子の合成・テスト、DCからIND段階への成功率100%という優れたパフォーマンスを示しました。
インシリコ・メディシンについて
インシリコ・メディシンは、生成型AIによって駆動される臨床段階のグローバルバイオテクノロジー企業です。同社は次世代AIシステムを活用して、生物学、化学、医療、科学研究を結び付けています。同社は、ディープジェネレーティブモデル、強化学習、トランスフォーマー、その他の最新機械学習技術を活用したプラットフォームを開発し、新しい標的の発見および望ましい特性を持つ新規分子構造の生成を行っています。インシリコ・メディシンは、がん、線維化、中枢神経系疾患、感染症、自己免疫疾患、加齢関連疾患などの治療法開発を加速させる革新的なソリューションの創出を目指しています。
公式ウェブサイト:www.insilico.com
Therasid Bioscienceについて
Therasid Bioscienceは2017年に設立され、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)または代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の治療薬開発に特化したグローバル初(first-in-class)の革新的な薬剤開発を行っています。NASHは肝硬変による死亡率を引き上げる主要な原因であり、病変肝臓における炎症や線維化の重症度に応じて多様な臨床症状を呈します。Therasidは、TB-840という主力パイプラインの第2相臨床試験を目指し、2024年12月に米国食品医薬品局(FDA)との治験前面談(Pre-IND)を成功裏に完了しました。同社の戦略は、NASHの発症プロセス(脂肪変性、炎症、線維化を含む)を支える分子メカニズムに関する包括的な理解に基づいており、NASHの進行に関連する多様な細胞型における研究を通じて新たな治療法開発を促進しています。