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大型草食動物は海氷減少に伴う北極圏ツンドラの多様性損失を遅らせる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Eric Postらによると、北極で15年にわたり実験を行った結果、海氷消失に伴う気温上昇のせいで、植物、地衣類、菌類を含むツンドラの多様性は減少したという。しかし、カリブーやジャコウウシといった大型草食動物が存在すると、さまざまな摂食行動で低層植物に影響を及ぼすことによって多様性の減少が遅くなる、と研究者らは結論付けた。今回の発見は、ツンドラにおける草食動物の多様性を促進することが、気候温暖化の影響をある程度緩和することにつながる、という考えを支持するものである。Postらは、グリーンランドのカンゲルルススアーク付近で2002~2017年に実験を行い、気温の上昇、海氷の変化、ツンドラの多様性、草食動物の排除について、相互の影響を観察した。地域内の一部区画では、実験的に温暖化させる実験も行った。その結果、ツンドラの多様性率は、実験が進むにつれてすべての実験条件で低下し、この傾向は経時的な海氷損失によって説明できることが分かった。ただし、ツンドラの多様性は、草食動物を排除した区画では約2倍の速さで減少した一方で、実験的に温暖化させた条件下で草食動物を放した区画では、減少が最も遅かった。


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