News Release

冷却化合物によって哺乳類の冷感が引き起こされる仕組み

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たな研究によると、低温電子顕微鏡法(cryo-EM)により、マウスの冷感イオンチャネルが活性化され、ミント植物に広く認められるメントールなどの冷却化合物によって引き起こされる冷感を誘導する仕組みが明らかにされた。哺乳類は、温度の低下又は特定の化学物質への曝露によって冷たさを感じる。この化学的に誘発される冷感の主成分は、一過性受容電位体メラスタチン8(TRPM8)イオンチャネルによって媒介される。これらのチャンネルは、ヒトの冷感の主たるメカニズムとして、感覚ニューロン及び感覚機能で表現される。しかしながら、冷感アゴニストによるチャンネル活性化の分子的機序は不明であった。これまでの大半の構造研究は鳥類TRPM8に限定されており、それらの配列が類似しているにもかかわらず、鳥類TRPM8は、哺乳類TRPM8と比較して、熱的及び化学的に異なる感受性が示し、構造実験の際に完全に開かれなかった。しかしながら、これらの研究から、膜シグナル伝達脂質ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸(PIP2)がTRPM8チャネル開口に重要な役割を果たしていることが示唆されている。ヒトにおけるTRPM8活性化の構造的基盤を理解することによって、神経炎症性疾患および疼痛への管理に対するこの冷感チャネルの治療上の可能性が高まる可能性がある。脱感作を誘導しない冷却剤の組み合わせを用いて、Ying Yinらは、リガンド及び脂質依存性のゲーティング経路に沿って、閉状態、中間状態及び開状態において、マウスTRPM8構造の低温EMスナップショットを捉えた。開口時のTRPM8チャネルゲーティングの構造を可視化することによって、Yinらは、PIP2及び冷感アゴニストを介したTRPM8活性化の分子機構を明らかにした。今回の著者らによると、冷感を生じる分子は、この受容体をハイジャックすることによって冷感を生じさせ、チャネルの孔とゲートの変化は、イオン伝導と一致し、電気生理学的および分子動力学的な実験によって裏付けられている。


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