天然ガスのフレアリングは思ったほどメタンを分解しない

Genevieve Plantらの新しい研究によると、フレアリング ―― メタン排出を減らすために油井・ガス井から漏出する天然ガスを焼却すること ―― の効果はこれまで考えられてきたよりかなり低いという。Plantらは、アメリカでのフレアリングの80％以上を占める3つの地域で空気試料捕集を行った結果、フレアに点火されていなかったり、燃焼が不完全だったりが原因で、メタンの排出量はこれまで考えられてきたより5倍多かったことを発見した。メタンは地球温暖化の一因になるという点で最も重要な温室効果ガスの1つであるとともに、対流圏オゾン形成の主要要因でもある。業界と政府の見積もりでは、石油・ガス事業では排出されるメタンはフレアリングによって分解され、その効率は98％とされているが、これらの見積もりは実在データでテストされたことはほぼない。これを解決するため、Plantらはアメリカのパーミアン、イーグルフォード、バッケン盆地でそれぞれ異なる300のフレアを調査した。彼らは、この3つの地域では不完全燃焼とフレアの非点火が原因でメタンは91％しか分解されないと推測している。これらのフレアがずっと点火した状態で効率98％の稼働であれば、メタンの排出量の減少は毎年道路から29億台の車が排除されるのに相当するだろうと彼らは述べている。関係するPerspectiveではRiley DurenとRiley Durenが、これら3つの盆地ではフレアから5キロ以内に50万人が住んでおり、「点火していない、部分的にしか燃焼しないといったフレアは、隣接地域を急性ないし慢性健康障害のリスクを伴う共汚染物質の混合物にさらす可能性がある」と述べている。