News Release

都市化により世界で多数のシロツメクサの抗草食動物防御化学物質の生成が減少

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

シロツメクサ ―― 世界各地の多くの農村部と都市部に共通して広く分布する広分布植物 ―― に関する世界規模の調査で、シロツメクサ群はどの市でも同じように都市の生息環境に適応できるというエビデンスが発見された。具体的には、多数の都市環境のシロツメクサは草食動物から身を守るための化学物質の生成が少ない傾向があった。「農村の自然環境は都市化によって地球の生物多様性が経験したことのない生態系へと次第に変わってきている。そしてそういった変化が生物の進化を変えている」とその研究の著者らは書いている。「都市環境への適応が共通しているならば、個体群や生態系に対してカスケード効果をもたらす可能性がある。」都市開発はその地域の環境を激変させる。そしてそれによって新しい生態系ができ、そこで様々な生物が急激に進化する可能性がある。都市化が複数の進化過程に影響し得ることを示す研究は増えている。ただ、遺伝的浮動や遺伝子流動に都市化がどう影響するかを示す例は多数ある一方で、適応進化に対するその影響を実証した研究は少ない。実施されてきた研究でも、焦点となっているのは主に1つの地理的地域内の1つもしくは少数の市である。James Santangeloらは、都市環境が世界的に同様に植物の適応進化を引き起こすかどうかを判断するために、世界各地の160の市にまたがって6,169の個体群から110,019のシロツメクサを採取した。彼らは、約半数の市において農村部と都市部のシロツメクサ群では抗草食動物化学的防御分子であるシアン化水素(HCN)の生成量が異なり、生成量は一般的に都市中心部から離れる方が多いことを発見した。Santangeloらによると、適応の度合いは市によって異なるものの、これはおそらく市内での干ばつによるストレスと草食動物による摂食圧の低下への反応だという。そうは言うものの、今回の結果によって都市化が世界規模で適応につながることは実証された。この事は地球上で絶滅の恐れが最も強い一部の種の保護に役立つだろうとSantangeloらは述べている。


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