極めて重要な生態系サービスと生物多様性は、一般的に植林による人工林よりも天然林によって効果的に提供されることが、森林再生を目指す様々な方法の利点について評価した新たなグリーバル研究により示されている。この結果は、森林再生の取り組みを成功させるために検討すべき重要なトレードオフ関係を明かにしている。森林再生は、特に荒廃して森林が伐採された土地の場合、気候変動とその影響を軽減するための実用的な方法として広く喧伝されている。しかし、多くの積極的な森林再生の取り組みが行われており、例えばボン・チャレンジ(Bonn Challenge)は2030年までに350ヘクタールもの森林を再生させると宣言しているが、様々な森林再生方法における利点とトレードオフ関係について厳密に比較した研究はない。その結果、森林により提供される重要な生態系サービスは、森林の構成にかかわらずもたらされ得ると考えられており、そのために様々なプログラムは構成が単純な植林を広範に行って森林再生を目指す傾向がある。重要な生態系サービス、例えば炭素貯蔵、土壌や水系の管理、および生物多様性について、様々な植林や天然林再生の比較するため、Fangyuan Huaらは53ヵ国の研究264件から、地球の主要な森林生物群系を含めたデータについてグローバルレベルの総合を行った。Huaらは、天然林では植林と比べて一貫してより良い生態系サービスが提供されており、特に植林の効率が悪い高温かつ乾燥した地域ではこのことが当てはまることを示した。しかし、植林が成功しているところは、伐採のための木材が大量に得られる地域である。著者らによれば、森林再生の取り組みによる利益が最も達成されるのは、天然林の再生を通じてであって、大規模な植林を行うことによってではない。
Journal
Science
Article Title
The ecosystem service and biodiversity contributions and trade-offs of contrasting forest restoration approaches
Article Publication Date
17-Mar-2022