News Release

SARS-Cov-2抗ウイルス薬に近道はない

Reports and Proceedings

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

COVID-19抗ウイルス薬を目指した「仮説フリー」の薬剤リパーパシングに何十億ドルもが投資されているにもかかわらず既存薬剤のリパーパシングによる効果的なCOVID-19治療薬はまだ得られていない、とAled EdwardsとIngo HartungはPerspectiveで述べている。「新たな直接作用型抗ウイルス薬の合理的な開発に対して投資を増やすことは賢明であろう」と著者らは記している。「このアプローチは時間がかかる可能性があるが、リスクは少なくて済み、新興のウイルスに対する治療薬開発にも有用となり得る」と、EdwardsとHartungは6月22日にScienceに掲載されたTumminoらの研究を取り上げている。この研究は、リパーパシングされたあるクラスの薬剤が細胞レベルでSARS-CoV-2に対する抗ウイルス作用を示したが、リン脂質症を誘導して非特異的に作用してアーチファクトをもたらし、in vivoでは効果を発揮しないようであることを示したものである。Tumminoらは、このアーチファクトが、リパーパシングされて患者で試験された複数の薬剤(ヒドロキシクロロキンを含め)で発生していることを発見した。EdwardsとHartungは、この研究や関連研究は、パンデミックの圧力下にあっても、科学的な徹底性がやはり極めて重要であることを警告するものであると述べている。著者らは、オール・スクリーニング・ヒットに対しては、それが生化学的根拠によるのであれセルアッセイベースによるのであれ、またそれが新規化合物であれ既承認薬であれ、徹底的に懐疑をもって対応することを推奨している。著者らは、薬物スクリーニングにおいて、微細な作用を有している化合物や、交絡をもたらす未知の機序を介して作用する化合物にフラグ付けをすることの難しさを強調したうえで、こうした困難の多くは構造活性相関(SAR)を注意深く探索することで克服できると指摘している。「SARの探索は、まさしくTumminoらが行ったことであり」として、著者らはこう述べている。「この著者らの勤勉さは、抵抗し難い標的仮説について、資金を投資することも患者の希望と健康を臨床試験でリスクに曝すこともなく、その誤りを立証したことによって報いられた。」


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.