News Release

口は腸内病原菌の拠点として機能しているかもしれない

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

The Mouth May Act as a Hub for Intestinal Disease-Causing Bacteria

image: Transmission electron microscopy (TEM) of in vitro-cultured Klebsiella (Kp-2H7). This material relates to a paper that appeared in the Oct. 20 2017, issue of Science, published by AAAS. The paper, by K. Atarashi at Keio University School of Medicine in Tokyo, Japan, and colleagues was titled, "Ectopic colonization of oral bacteria in the intestine drives TH1 cell induction and inflammation." view more 

Credit: Alessia Ranciaro

科学者らによると口は、炎症性腸疾患(IBD)や潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)といった疾患を悪化させる腸内病原菌に対して、貯蔵所として機能している可能性があるという。彼らの分析結果によって、こうした疾患に対する効果的な治療法の開発に向けて、待望の新たな道が切り開かれるかもしれない。IBDやUC、CDは腸内微生物相のバランスの崩れに関係しているが、その根底にある原因は依然として不明である。これまでの研究では、口腔細菌はもともと豊富にいる常在微生物群と場所を取り合うことになるため、健康な腸には通常生息しないと示唆されていた。また興味深いことに、IBDやHIV、肝硬変、結腸癌を患っている人の腸内微生物相には、口で発生した細菌が増えることが報告されていた。さらに研究を進めるため、Koji Atarashi(新幸二)らはIBDおよびCDの患者から唾液試料を採取し、それを無菌マウスに移植した。研究者らの観察によれば、唾液から分離したクレブシエラ菌株を腸で生息させると、一部のマウスに強いT細胞免疫反応が引き起こされたという。クレブシエラ菌は微生物相のバランスが崩れると腸にコロニーをつくることが知られており、遺伝的に感受性の高い宿主にひどい炎症を引き起こす可能性がある、と著者らは述べている。彼らはこの結果から、口で発生した細菌(特にクレブシエラ菌)を標的にすることで、IBDやその他多くの関連疾患を治す治療戦略が得られるだろうと述べている。関連するPerspectiveでは、Xuetao Caoらがこの研究結果をさらに掘り下げている。

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