鳥類の卵の形が種によって大きく異なる理由の説明には諸説あるが、今回新しい研究によって卵の形は飛行への適応によることを示すエビデンスが得られた。この結果は、生活史もしくは巣作りの場所が主な要因だとする説に反している。卵の形についての説は多数あり、見解も幅広い。例えば、断崖絶壁に巣を作る鳥は卵が絶壁を転がり落ちないように小さく円を描いて転がる円錐形の卵を産む傾向が強いという説や、形が異なるのは産まれた卵の数に合わせて抱卵効率を最大にするためという説などがある。今回Mary Caswell Stoddardはこの論争に決着を付けようと、37目(このうち2目は絶滅している)、約1,400種にわたる49,175個の卵の形を分析した。これらの卵を非対称性および/もしくは楕円率に基づいて分類した。また、すべての種について多数の生物測定値、生活史、環境パラメーターの分析も行った。Stoddardらの研究チームは博物館にある標本の生物測定値を使用し、鳥類の飛行効率と散布能力の標準的指標であるハンド-ウイング指標(HWI)を算出した。その結果、卵の形(非対称性、楕円率)は抱卵数、発達状態、環境要因、巣の特徴とは無関係で、HWIとの間に相互関係があることを発見した。HWIが飛行効率と正の関係にあることを考えれば、今回の結果から、飛行への適応が鳥類の卵の形の多様性の主要要因かもしれないという非常に興味深い可能性が出てくるとStoddardらは述べている。関係するPerspectiveではClaire Spottiswoodeが鳥類は飛行のために流線形をしていることに注目している。「流線形の鳥類はおそらくその狭い骨盤に合わせて卵の幅も狭くする必要がある。そして、幅の狭い卵にひな鳥が入るようにする唯一の方法は卵を長くすることである。ゆえに結果として、卵の形は楕円もしくは非対称になった」と述べている。
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