新しい大規模研究の報告によると、3つの小さなニュースメディアが仕事や自然環境や移民といったテーマについて記事を書いたところ、ソーシャルメディアを中心にそのテーマに関する議論が起こり、しかもそのテーマに関する世論が記事のイデオロギーと同じ方向に数パーセント傾く場合があったという。この研究結果はさまざまな政党や地理といったサブグループに当てはまることから、一部の人が考えていた以上に米国の主流ジャーナリズムは幅広い階層の人々とまだつながっており、強い影響を及ぼしていることが浮き彫りになった。今まで、ニュースメディアが公衆の意見表明に及ぼす影響(たとえば、個人が重要な政策問題について態度を公にする際の動機になるかどうかなど)を推測するのは難しかった。こうした研究の余白を定量的に調べるために、Gary Kingらは、政策に関する多くの会話がソーシャルメディアの投稿に記録されているという事実を利用した。小さなニュースメディアを中心に48個のメディアの協力を得た彼らは、それらのメディアを2~5個ずつのグループに分け、彼らが決めたテーマ(移民、気候、教育政策など)について彼らが無作為に指定した日に、記事を書いて公開してもらった。同じテーマについて書かれた各記事群を、2週間のうちどちらか1週間連続でそのメディアに掲載するよう指定した。次に著者らは記事の影響を評価するため、記事群を掲載した「被験」週と掲載しなかった「対照」週との結果を比較した。著者らの報告によると、記事群の影響によって幅広い各政策分野における議論が(1日の量に対して)平均で約63%増加し、同様の効果があらゆるサブグループ(政党、ジェンダー、地理、ツイッターの利用度など)で見られたという。また記事群の影響によって、意見のバランスが、公開された記事で伝えられた意見と同じ方向に2.3%変化した。Policy ForumではMatthew Gentzkowがさらなる洞察を述べている。
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