News Release

ライドシェアのデータからフロリダ州でのスピード違反取り締まりにおける差別が明らかに

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ライドシェアサービスLyftの登録運転手22万人超のデータを用いたところ、有色人種の運転手は同じ速度で運転していても白人の運転手よりスピード違反の切符を切られる可能性および不当に高い罰金を課される可能性が有意に高い、と研究者らが報告している。法執行機関によるレイシャルプロファイリングは米国における喫緊の社会問題である。警察記録や裁判記録を解析したこれまでの研究では、人種的・民族的マイノリティは、白人市民に比べて捜査や罰金、暴力、拘留、収監の対象になる割合が不釣り合いに高いことが示唆されている。しかし取り締まりにおける人種的偏見についての研究は、長らくデータ不足や解析の難しさによって妨げられていた。たとえば、取り締まりにおける人種的偏見を実証するためには、警官によるマイノリティの扱いと白人市民の扱いを同一条件下で比較しなければならず、その際には、警察と市民の遭遇場面における執行の格差を説明しうる他の要因をすべて調整する必要がある。このような「他の条件がすべて等しい」シナリオは、取り締まりの研究ではほとんど見られない。

 

ライドシェアサービスLyftから得たGPSの高頻度位置データを活用することで、Pradhi Aggarwalらはこうした課題のいくつかを克服し、スピード違反の切符交付と罰金にレイシャルプロファイリングが及ぼす影響を推定している。解析には2017~2020年にフロリダ州で操業していたLyftの運転手22万2838人のデータが含まれた。Lyftの運転手は、正確な位置と速度のデータをLyftのシステムに10秒間隔で送信するスマートフォンアプリを使用しており、詳細なリアルタイムの運転情報を研究者らに提供できる。次にAggarwalらは、このデータセットをフロリダ州政府のスピード違反記録とマッチさせた。スピード違反記録には、車両停止の詳細と車両停止命令を受けた運転手の免許証情報の詳細が記録されている。その結果、運転速度、場所、車両の特徴およびその他の関連変数などの因子で調整した後でも、マイノリティの運転手は白人運転手よりスピード違反の切符を切られる可能性および高額の罰金を支払う可能性が有意に高いことが明らかになった。研究結果によると、マイノリティの運転手は白人運転手に比べて、車両停止時に切符を切られる可能性が24~33%高く、23~34%高額の罰金を支払っている。さらに解析によって、白人運転手とマイノリティの運転手で事故率や再犯率に有意差はないことが明らかになり、運転手の行動よりもむしろ取り締まりにおける偏見が、これらの格差を促進していることが示唆された。関連するPerspectiveではDean KnoxとJonathan Mummoloが、「Aggarwalらは、取り締まりに関する研究を妨げていた特に厄介な障害を克服するために最新の技術進歩を用いるという手本を示した」と述べている。

 

この論文にご興味のある記者の方へ:2021年のScienceに掲載されたKnoxの論文では、シカゴ市警察の警官らによる日常パトロールのデータセットが用いられ、研究が行われた3年間で黒人警官が武力を行使する頻度は白人警官より低かったことが報告されています。https://science.sciencemag.org/cgi/doi/10.1126/science.abd8694


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