News Release

太平洋のゾウアザラシは深海の番人で、ゾウアザラシに頼らなければ測定が難しいパターンを明らかにしてくれる

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

キタゾウアザラシは、外洋のトワイライトゾーン(水深200~1,000メートル)の秘密を解き明かす鍵を握っているかもしれない。新しい研究によると、これらの深海潜水動物は、地球で最も謎の多い遠く離れた生態系の1つに生息する魚の把握困難な動態を突き止める希少な手段になることから、魚の個体数の推定に役立つという。生態系は動的で、そこでは資源の変動 ―― 自然変動も人為的変動も ―― によって種の相互作用と食物網が形成されている。陸上生態系でのこれらの過程については研究が進んでいるが、世界の魚の生物量の大半を有する外洋深海の生態系でのこういった過程についての研究は遅れている。深海の個体数に陸上で見られるような連鎖的変動が起こるかどうかはわかっていない。深海の監視は、データ収集のコストが高く、散発的で、海面に集中しているといったような技術的制約が妨げとなっている。野生生物は長い間、生態系の健康の重要な番人だとされてきたが、野生生物を介さなければ定量化が難しい人間の影響や環境の変化についても情報を提供してくれる。ただ、深海の監視に特化した種は存在しない。Roxanne Beltranらは今回、キタゾウアザラシ(Mirounga angustirostris)が太平洋北東部のトワイライトゾーンの健康を監視する生態系の番人として使用できるかどうかを評価した。ゾウアザラシは広大な外洋全域で主にトワイライトゾーンの魚を食べている。Beltranらは、衛星通信タグを付けたアザラシから集めたデータを用いて、それらの採餌成功と海面で測定された長期の海洋学的条件に強い相関関係があることを発見した。とりわけ、2年前の観察ではアザラシの体重増加の変動は海洋学的条件の変化と一致しており、このことは、アザラシの体重増加がトワイライトゾーンにおける獲物入手可能性の貴重な代理指標であることを示している。この関連のおかげで、獲物である魚の個体数について過去45年間の推算と今後2年間の予測が可能になり、魚の個体数が明らかに多い時期と明らかに少ない時期が浮き彫りになった。今回の研究結果により、トワイライトゾーンの魚の個体数は急変動し、多い時期と少ない時期のサイクルは3年から5年ごとに来ることが示された。このパターンはこの方法以外の直接的な観察では測定できなかった。


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.