Tina Lüdeckeらの新しい研究によると、南アフリカのスタルクフォンテイン化石遺跡で発掘された7つのアウストラロピテクスの標本は草食性のヒト族で、肉は大量には食べていなかったという。Lüdeckeらは、化石標本の歯のエナメル質から抽出した有機窒素と炭酸塩炭素の同位体を分析し、そのヒト族が何を食べていたかを突き止めた。初期のヒト族は動物性食料を摂取することで、脳が大きくなり、腸が短くなり、背が高くなったという説があり、これらは全てヒトの進化における重要な事象である。同時期(約370万年前)の切断されて解体された骨や一部の石器がアウストラロピテクスが肉をいくらか食べていたことを示唆してはいるが、肉食だったという直接的なエビデンスはない。Lüdeckeらは、アウストラロピテクスを含む43の動物化石と現代のアフリカの哺乳類のエナメル質の窒素同位体測定値を分析し、既知の肉食動物と草食動物におけるこれらの同位体の特徴を明らかにした。その結果、肉食動物群と草食動物群ではエナメル質の同位体は明らかに違い、アウストラロピテクスのエナメル質は草食動物群のそれとかなり似ていたことが判明した。アウストラロピテクスはマメ科植物若しくはおそらくシロアリといった高カロリーで窒素同位体比の低い物を食べていた可能性があると、Lüdeckeらは述べている。しかし、ヒトの進化の顕著な特徴である脳の大きさなどの特徴を変えるほど大量の肉を食べていた可能性は低いと結論付けている。
Journal
Science
Article Title
Australopithecus at Sterkfontein did not consume substantial mammalian meat
Article Publication Date
17-Jan-2025