News Release

ゲノム解析で、ネアンデルタール人との混合の時期および現生人類へのその影響について解明が進む

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

過去50,000年間の300を超えるゲノムを網羅したゲノム研究により、初期現生人類への1回のネアンデルタール人の遺伝子流動がヒトの進化に消すことのできない痕跡をどのように残したのかが明らかになった。その他にも、本研究の成果として、現生人類は最終的には現生人類系統に有利になるネアンデルタール人のゲノム、例えば皮膚色素沈着、免疫反応、代謝に関与するゲノムなどを獲得したことも報告された。これまでに、ネアンデルタール人とデニソワ人のゲノム解読からこれらの古代ホミニンと現生人類の祖先の間で遺伝子流動が盛んに起こっていたことが判明しているが、科学者らの報告によると、ネアンデルタール人の祖先の分布はゲノム全体で均一ではない。さらに、特定の遺伝子領域 ―― 古代の遺伝子砂漠 ―― にはネアンデルタール人の祖先はまったく存在していない。一方、他の領域にはネアンデルタール人のバリアントは高頻度で存在しており、これは有益な適応変異だったためと考えられる。しかし、この古代混合がどのような混合であったかは、遺伝子浮動や自然選択のような進化力がこういったパターンの形成に果たした役割も含め、おおむね明らかになっていない。Leonardo Iasiらは、45,000年から2,200年前の古代人59人と世界の様々な地域の現代人275人、計334人の現生人類のゲノムデータを用いて、この50,000年にわたる現生人類におけるネアンデルタール人祖先の変異について総合的な評価を行った。その結果、Iasiらは、ネアンデルタール人の遺伝子流動は大部分が、50,500年から43,500年前に起こったと考えらえる現生人類と共有した1回の長い遺伝子流動期に起因することを発見した。これは、現生人類とネアンデルタール人がヨーロッパに同時に存在したことを示す考古学的エビデンスと一致する。さらに、今回の研究結果は、ネアンデルタール人の祖先は遺伝子流動から100世代以内に、特にX染色体上で、急速な自然選択 - 正の選択も負の選択も - を受けたことを実証している。


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