新しい機械学習研究から、世界のプラスチック廃棄物は、何らかの介入がなければ、2050年には倍増するという予測が出ている。しかし、その研究の著者らが行ったシミュレーションによると、複合的な政策介入で、プラスチック廃棄物は90%以上、また、プラスチックに関連する温室効果ガスの排出は3分の1の削減が可能だという。国連条約の議論が進行する中、これらの研究結果はこのプラスチック危機に取り組むための極めて重要な青写真を提示している。プラスチックの生産はここ数十年間絶えず増加しており、それによってプラスチック廃棄物の発生と不適切な環境管理が急増している。プラスチックは分解されてマイクロプラスチックやナノプラスチック破片になり、世界中 - 北極圏から深海の生息地まで - の生態系に悪影響を与え、また、癌リスクの上昇、心血管疾患、生殖問題などの健康に対する重大なリスクも引き起こす。プラスチックはまた、そのライフサイクル、石油とガスの採取から生産、廃棄処理までの過程で温室効果ガスを排出し、それによって気候変動を激化させる。さらに、グローバル・サウスへの過度なプラスチック廃棄物の負担と、周縁化された地域近辺での多数のプラスチック施設の設置は、環境正義に対する切迫した懸念に拍車を掛けている。最近、世界はこれらの問題への取り組みに勢いづいており、ついには、2022年、プラスチック汚染を終わらせる法的拘束力のある条約を協議する国連決議が採択された。
Samuel Pottingerらはこの取り組みを支援しようと、世界のプラスチック生産、取引、廃棄物管理の動向を2050年まで予測する新しい機械学習モデルを開発した。また、プラスチック廃棄物と温室効果ガス排出を削減するための8つの妥当な政策介入の効果についてもシミュレーションを行った。その結果、政策介入なしでは、2050年には管理が不適切なプラスチックの年間廃棄物はほぼ倍増し、12,100万トンに達すると予想されることが判明した。同時に、地球のプラスチックシステムからの温室効果ガスの年間排出量も、同期間に37%増えると予想される。しかしPottingerらは、生産量の上限設定、リサイクルの義務化、包装税、インフラ投資を含む複合的な政策介入といった方法で、管理不行き届きなプラスチック廃棄物を最大91%、2050年のプラスチック関連の温室効果ガス排出を約3分の1、削減できるとしている。「要するに、これらの研究結果は、プラスチック汚染に関する国連条約の効果を条約の起草時から長い実施期間にわたって最大化する方法について時宜にかなった手掛かりを提示している」とPottingerらは書いている。「これらの結果から、必要に足りる政治的意思を持ってすれば、管理の不適切なプラスチック廃棄物を大幅に削減するとともに、関連するより潜行性の高い一部の問題に有意義に対応する技術的ポテンシャルは十分なことは明らかである。」
Journal
Science
Article Title
Pathways to reduce global plastic waste mismanagement and greenhouse gas emissions by 2050
Article Publication Date
14-Nov-2024