News Release

硬い棘に覆われたドリアンに似た新しい化石が軟体動物の骨格の起源を知る手掛かりに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

軟体動物の初期進化については解明が難しい状況が続いているが、今回新たに発見された化石 ―― 殻がなく、軟体で、棘を持つカンブリア紀初期の軟体動物 ―― から重要な手掛かりが得られたと研究者らは報告している。この発見により、Shishania aculeataと呼ばれるこの化石生物がステムグループに属する軟体動物 ―― 冠輪動物上門の初期群と更に派生した軟体動物の中間に位置する生物 ―― であることが示唆された。軟体動物は最も多様性に富んだ動物群の1つで、二枚貝、巻き貝、タコといった誰もが知る様々な形態のものや、あまりなじみのない有棘類(ヒザラ貝や蠕虫状の無板類など)が含まれる。驚くほどのこの多様性にもかかわらず、現存の化石や現生種から得られる情報が限られているため、軟体動物の祖先の特徴を解明することは難しい。カンブリア紀の初期軟体動物の化石から手掛かりがいくつか得られ、バイオミネラル化した殻と硬皮が組み合わさった形態であることは判明しているものの、ステムグループ系統の分類群についてはほぼ説明がついておらず、軟体動物の初期進化の解明には格差が生じている。Guangxu Zhangらは今回、幅広の足、外套腔、中空のキチン質の硬皮で覆われた背中などの特徴を併せ持ち、それゆえに棘に覆われたドリアンのように見えるカンブリア紀初期の軟体動物S. aculeataについて説明している。現代の有棘類軟体動物のバイオミネラル化した硬皮とは違って、Shishaniaの硬皮はミネラル化しておらず、このことはShishaniaが軟体動物のクラウングループには入らないことを示唆している。電子顕微鏡検査により、この硬皮は環形動物や腕足動物の剛毛に似た細管状の微細構造をしていることも判明した。これらの発見から、単純なキトン質の剛毛からより複雑なバイオミネラル化した骨格形態への軟体動物の進化的移行が明らかになった。


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.