News Release

大規模GWASからVA Million Veteran Programにおける遺伝的構成が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

米国退役軍人省(VA)のMillion Veterans Program(MVP)は、米国の最も大規模なバイオバンクの一つであるが、そのデータを用いた大規模全ゲノム関連研究(GWAS)により、様々な集団における遺伝子、形質、および疾患の間の関係に関する我々の知識のギャップが埋められることが、新たな研究で示されている。この研究結果は、遺伝研究の対象集団における多様性の重要性や、今後のGWAS研究においてより幅広い集団が代表される必要性を強調している。GWAS研究はこれまで、疾患の遺伝的基盤についての基本的な知識を提供しており、予防と治療を目指す上でプレシジョン・メディシンのアプローチに有用な情報を与える助けとなってきた。しかし、現在のGWAS研究は主として欧州系の人々に焦点を当てており、得られた結果におけるより多様な人口集団への適用可能性が限られてしまう。この問題に取り組むため、Anurag VermaらはVA MVPのデータを利用した。MVPには63万5千人を超えるデータが含まれ、その3分の1は非欧州系の遺伝的背景を有しており、その割合は直近のGWASデータセットと比べて約2倍である。Vermaらはこのデータを用いてGWASを実施し、4つの人口集団、すなわちアフリカ系、混合米国系、東アジア系および欧州系の登録者における2,068の形質について分析し、多様な集団内における複雑な形質の遺伝的構成を特徴付け、人口集団間の遺伝的素因を比較した。その結果、635,969人の登録者では、1,270の形質にわたるバリアントと形質間の26,049の関連を特定した。全体的に、異なる祖先集団の間で、遺伝子と形質間の関連には差異よりも類似性が多く認められ、このことから、このサンプル集団の遺伝的構成には大きな類似性があることが示される。特記すべきこととして、今回の解析から、バリアントと形質間の3,477の関連は、非欧州系集団の人が対象に含まれた場合にのみ有意であることが示され、このことから、集団を対象としたGWAS解析における遺伝的多様性の重要性が強調される。「Vermaらは、Million Veteran Programの登録者は一般集団と比べて年齢が高く、また女性がわずか8%であったと報告している。したがって、このデータでは、女性や若年者に特異的な、あるいはそうした集団で多くみられる病態に関する研究に限界がある」と、関連するPerspectiveでAlice WilliamsonとSegun Fatumoは記している。「それでもこれらのデータは、他の大規模バイオバンクの取り組みに対して貴重な補足データを提供しており、ゲノム研究の発見においてより多様な集団を組み入れることの有益性を示している。


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