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ポンペイのように灰に埋没したモロッコの累層で発見:カンブリア紀の三葉虫の損傷のない立体解剖学的構造

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

カンブリア紀の三葉虫は ―― 「ポンペイのような」過程で ―― 火山灰の下に一瞬のうちに埋もれたおかげで、その解剖学的構造は見事に保存された化石となっていることから、かつてないほど識別しやすい。新しい研究で、モロッコで発見されたその化石について報告されている。その研究では、三葉虫の付属肢や消化器系など、顕微鏡でなければ見えない詳細部が明らかになったという。三葉虫はカンブリア紀に生息していた中でおそらく最も有名な生物である。絶滅したこれらの海洋節足動物はその硬い外骨格ゆえに化石化の可能性が高く、おかげで22,000を超える三葉虫種とカンブリア紀初期からペルム紀の絶滅までの丈夫な化石記録の確認が円滑に進んでいる。豊富な化石からこれら三葉虫の外部形態については多数の知見が得られたものの、解剖学的構造、とりわけ、ほぼ保存されていない軟組織の付属肢や内蔵器官についての知識は非常に限られている。Abderrazak El Albaniらは今回、モロッコのTatelt累層で発見された極めて保存状態が良く、解剖学的にも完全なカンブリア紀の三葉虫の複数の化石について報告している。El Albaniらによると、それらの三葉虫は浅い海洋環境を掃滅した単一の火砕流イベントで一気に灰に埋もれて化石化したという。このような過程で三葉虫は瞬時に埋没し、外骨格とその中にある軟組織は共に損傷を受けず、立体的に保存された。El AlbaniらはX線マイクロトモグラフィー画像を使用して、間接でつながった歪みのない外骨格、触角、触角の後ろの付属肢、消化器系、その他の軟組織など、その三葉虫の解剖学的特徴を観察することができた。彼らはまた、新しい摂食構造、細隙状の口の開口部、口周辺に複雑な摂食器官を構成する特殊な頭部付属器官といったこれまで知られていなかった解剖学的特徴についても説明している。更に今回の発見は、Tatelt累層に三葉虫が埋もれたように、他の海洋環境の火山灰堆積物も軟体動物や細部も含む解剖学的構造を保存できる可能性が高いことも示唆しており、同様の堆積層でさらなる発見が見込まれることが強調された。


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