News Release

高純度低濃縮ウランの使用拡大は重大な核安全保障上の懸念を引き起こす

Reports and Proceedings

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Policy ForumでR. Scott Kempらは、高純度低濃縮ウラン(HALEU:high-assay low-enriched uranium)を使う新たな原子炉技術の推進は、過去30年以上にわたり核兵器の拡散を防止してきた国際的な管理システムを脅かすものだ、と主張している。「HALEUの使用を推進している政府などの機関は、この燃料を広く採用することで生じうる拡散とテロのリスクについて慎重に検討していない」と、Kempらは述べている。厳重な規制がないままHALEUが標準的な原子炉燃料になれば、兵器利用可能なHALEUを各国が入手し処理できるようになり、抑止力がほとんど働かずに核の拡散が進むことになる、と著者らは警告する。商用原子炉の燃料に含まれるウラン235の濃縮度は一般的には3~5%であり爆発的連鎖反応には不十分なことから、兵器化は阻止されている。濃縮度6%超では高速の連鎖反応を維持できるものの、高度な濃縮能力がなければ兵器に必要な量は現実的に不可能であるため、これを実現できるのは少数の国に限られる。多くの最新型原子炉は10~20%のウラン235を含むHALEUを必要とし、なかには19.75%のHALEUを使用して高濃縮ウラン(HEU:highly enriched uranium)の安全保障上の制約を回避する超小型原子炉もある。しかし、HALEUほど濃縮度が高いと、HALEU燃料の原子炉1基で核兵器の原料となりうる十分な量がまかなえる可能性があるため、重大な安全保障上のリスクが生じる。Kempらは、米国やその他の国々がそれらのリスクについて十分に検討しないままHALEU原子炉の開発や燃料生産に補助金を出していると指摘している。Kempらは、兵器利用可能なウランに対して技術的に正当化される新たな、より低い濃縮度の制限が必要であると強調し、米国議員らに、エネルギー省の国家核安全保障局を通じてHALEUによる拡散と安全保障のリスクについての新たな検討を委託するよう求めている。著者らは、「この検討の重要な成果として、兵器利用可能なウランに対して技術的に正当化される新たな、より低い濃縮度の制限を定めるべきである。制限のないHALEU政策では、安全保障の余地がまったくない」と述べている。


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