News Release

巣に侵入するカッコウのなかに種分化率が高いものがいるのはなぜか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究の報告によると、カッコウ(他の鳥の巣に卵を産む鳥)は、より幅広い鳥種の巣に卵を産む場合に種分化率が高くなるという。この高い種分化率は、宿主による排除と、雛に擬態するというカッコウの選択によって引き起こされる。いかにして新種が出現するかは、生物学の根本的な問題である。密接に相互影響を与える種間の共進化は、生物多様性を増加させると考えられており、明らか分化した種が膨大に存在する理由を説明できる可能性がある。しかし、マクロ進化パターンと種分化を引き起こすミクロ進化プロセスとを結び付ける証拠は依然として乏しい。カッコウは、共進化的な多様化を研究するうえで有用なシステムを提供する鳥である。カッコウ類のなかには、雛が宿主の幼鳥を巣から蹴り出す種もあれば、宿主の幼鳥と一緒に育てられる種もある。こうした多様な托卵戦略により、宿主に非常に高い選択圧がかかって防御力が発達するとともに、共進化的な軍拡競争が引き起こされて、カッコウに対抗適応(宿主の卵や雛に擬態するなど)が出現する可能性がある。

 

20年にわたる行動学的および遺伝学的研究を組み合わせて、Naomi Langmoreらは、こうした相互影響がテリカッコウ類の種分化をどのように引き起こすかを調べた。その結果、Langmoreらは、いくつかの異なる種を宿主として利用するカッコウの分類群は、害の少ない非寄生的な近縁種よりも種分化率が高く、同所的種分化を起こしやすいことを見出した。これは、形態学的に異なるさまざまな宿主の雛に擬態するという選択に起因するものであり、これによりカッコウは遺伝的多様性と表現型の多様性が増して宿主に特化した系統になり、新種のカッコウが生まれるのである。「人為的な気候変動は、密接に結びついた既存の種間関係を崩壊させると同時に、新たな相互関係を生み出すため、共進化的な多様化の過程を理解することが今まで以上に重要である」と、Langmoreらは述べている。「種間の進化動態を理解し、モデル化することは、環境変化の正確なモデルを得て保全努力を優先するために重要である」


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