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森林保全プロジェクト由来のカーボン・オフセットは過大評価されている

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい分析により、森林保全プロジェクトに由来する温室効果ガス排出削減 ―― これを使用して他の排出源からの温室効果ガス排出を相殺することがある ―― は過大評価されていることが明らかになった。新しい研究によると、多数のREDD+(森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減)プログラムでは森林減少をたいして削減できておらず、削減したプログラムもその効果は言われているより大幅に低かったという。関係するPerspectiveではJulia JonesとSimon Lewisが、「この研究の成果が意味するところは非常に大きい」と書いている。「誤ったオフセットは、気候に対しては、温室効果ガスの排出を相殺していないという理由で、森林保全に対しては、言われるほど森林減少を削減していないという理由で、森林保全への今後の資金提供に対しては、グリーンウォッシュだとの非難で汚点がつく風評被害のリスクで今後の投資が阻まれる可能性があるという理由で、悪影響がある。」一部の民間企業、個人、政府は、森林減少削減を目的とした保全プロジェクトなど、それがなければ発生していたと推測される温室効果ガスの排出を防ぐプロジェクトに投資することで、自分たちの温室効果ガス排出を相殺している。REDD+プログラム由来のカーボン・オフセットは多くの場合、カーボン市場でクレジットとして取り引きされ(推定13億米ドル)、温室効果ガス排出予算を計算する際に請求されるが、そのプログラムが言った通りのことを達成できているかどうかについて厳密な証拠はほとんどない。Thales Westらは今回、世界の6ヵ国における26のREDD+プロジェクトを評価し、合成コントロール法を用いて、それらのプロジェクトで森林減少をどのくらい防げたかを推定した。Westらの発見によると、大半のプロジェクトが森林減少の大幅な削減はできておらず、削減した少数のプロジェクトも言われたよりかなり少ない削減量であったという。さらにWestらは、18のREDD+プロジェクトの一部で6,200万のカーボン・オフセット・クレジットが発行され、そのうち1,460万は世界各地の事業者が自分たちの温室効果ガス排出を相殺するために既に使用していることも示している。本研究の推定によると、これらのプロジェクトは気候変動緩和への実際の貢献量のおよそ3倍の温室効果ガス排出を相殺するために活用され、市場では現在、さらに4,770万のカーボン・オフセット・クレジットが購入できる状態だという。「カーボン・オフセット介入のための森林減少ベースライン設定で使用する手法は、プロジェクトによる森林減少の削減を正確に割り出せるよう早急に見直す必要があり、それによって森林保全に対するインセンティブと世界の炭素会計の完全性の両者が維持される」とWestらは書いている。


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