News Release

群れを成すワタリバッタはフェロモンで共食いを防いでいる

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、群生行動を行うワタリバッタ ―― 世界中で食糧安全保障の脅威となっている ―― は、悪臭を放つフェニルアセトニトリル(PAN)と呼ばれるフェロモンを産生して、他のバッタに食べられるのを防いでいるという。共食いというバッタの相互関係は壊滅的な破壊をもたらす群れの形成に関係していることから、バッタにおける共食い防止シグナル伝達経路が発見されたことで、バッタ管理対策の標的が見えてくると思われる。様々な種が主に栄養を補うために共食いをしている。このことが、各個体を共食いから守るための多様な共食い防止策の進化につながった。これらのダイナミクスは重要な生態学的役割を果たしうるにもかかわらず、共食い防止策は概して解明が進んでいない。バッタ種の間では共食いはよくあることで、共食いという相互関係は蝗害を起こす群れの形成と維持に関係している。Hetan Changらはワタリバッタであるトノサマバッタ(Locusta migratoria)の共食いの生態を調査し、バッタは、群生行動の際に共食いを阻止する共食い防止フェロモン、PANを産生していることを発見した。Changらは、若虫は群れの個体数密度が上がると個々にPANを産生し始め、そのPANには共食いから自身を守る効果があったことを突き止めた。また、PANを検出するための基本的な嗅覚受容体と、共食い行動に対する抵抗感を生じさせるためのシグナル伝達経路も発見した。PANを産生できないように操作したバッタモデルは自らを守るシグナルを失い、共食いされるケースが激増した。また、PANの嗅覚受容体が機能しないバッタは、PANを産生するバッタを、抵抗感を示すことなく、共食いした。「Changらの研究は、バッタの攻撃性と競争の間の複雑なバランスを図る仕組みを解明する際の重要な1つのステップだ」と、Iain CouzinとEinat Couzin-Fuchsは関係するPerspectiveで書いている。「PAN経路は共食いという相互関係を制御し、その結果、集団移動を促進することができる。したがって、PAN経路は今後のバッタ管理物質開発において有望な標的になるとも考えられる。」

 


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