Scienceニュースの調査：臨床試験での2例目の死亡により、アルツハイマー病に対する実験的抗体の有望性が疑問視されている（*エンバーゴなし*）

Science誌が入手した未発表の症例報告によれば、最近、アルツハイマー病に対する有望な抗体療法を受けた臨床試験のボランティアが、薬剤レカネマブに関連した大量の脳出血により死亡した。これは、公的に抗体と関連付けられた2例目の死亡であり、レカネマブの安全性と、最終的に規制当局の承認が得られた後どの程度幅広く処方できるのかに関する疑念が高まっている。この女性は脳卒中を発症し、血栓溶解性抗凝血剤である組織プラスミノーゲン活性化因子（tPA）の投与を受け、それにより直ちに出血が起きた。女性は、脳血管壁の平滑筋が徐々にアミロイド沈着物に置き換わっていく脳アミロイド血管症（CAA）であったことも判明した。CAAの専門家によると、レカネマブはアミロイドを標的とするため、レカネマブの投与により血管が脆弱化し、出血が引き起こされた可能性がある。脳スキャンでも死亡前に診断することは困難であるが、CAAはアルツハイマー病患者の約半数に生じる。そのため、レカネマブと抗凝固剤との明らかな相互作用について強い警告を行わなければ、患者にレカネマブを広く投与することは危険となりうると、この女性の死亡の詳細を精査した科学者は述べている。