News Release

化学と生物変換の2段階方式によって混合プラスチック廃棄物を有用な化学製品に変える

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らの報告によると、化学酸化と遺伝子操作微生物による生物変換とを組み合わせたハイブリッド方式によって、混合プラスチック廃棄物を化学製品にリサイクルする新たな方法が得られたという。現行のプラスチックリサイクル方式では、プラスチックを種類ごとに分別するのが難しいうえに費用がかかり、質も価値も低い最終製品しか生み出せない。しかし、Kevin Sullivanらは、この新しい2段階方式なら、最も豊富な使用済みプラスチックである高密度ポリエチレン(HDPE)とポリスチレン(PS)とポリエチレンテレフタラート(PET)の混合物を、ポリヒドロキシアルカン酸(さまざまな医療素材や医療用途に適したバイオプラスチックの一種)などの、有用な特殊化学製品に効率的に変換できることを示した。関連するPerspectiveではNing Yanが「Sullivanらは、化学と生物学を組み合わせたハイブリッド方式によって、他の方法では達成できないプラスチックのリサイクルが可能なことを明らかにした」と述べている。プラスチック廃棄物は収拾のつかない地球規模の環境危機を招いており、現行のプラスチック再生利用・リサイクル施設では対処しきれていない。この状況を改善するため、研究者らは混合プラスチック廃棄物を商業的に有用な化学製品に変換できるような、新たなリサイクル手段の開発を目指して、さまざまな化学的・生物学的方法を探ってきた。しかし、広く使用されているプラスチックは化学的に多様で複雑であるため、この目標達成を妨げる大きな障壁となっていた。今回Sullivanらは、酸化と生物投入の2段階によって、一般的な使用済みプラスチックを単純な化学最終製品に変換する方法を提示している。その報告によると、まず金属イオンによる酸化で混合プラスチックを分解し、中間体である有機酸を生成する。次のステップでは、この含酸素化合物を、遺伝子操作した土壌細菌(Pseudomonas putida)に消化させた後、生物変換して単純な化学製品にする。著者らは、この方式をβ‐ケトアジピン酸やポリヒドロキシアルカン酸を生成することで実証したが、微生物の代謝活動によって化学最終製品を調整すれば、必要に応じて混合プラスチックをさまざまなプラットフォームや特殊化学製品に変換することも可能であると指摘している。


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.