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後期更新世以降、絶滅と生息域縮小によって地球規模で食物網が崩壊した

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、後期更新世以降、陸生哺乳類の食物網の半分以上が、絶滅と生息域縮小によって消滅したという。この研究は、深層学習モデを使って、過去およそ13万年にわたる食物網の変化を地球規模で調べたものである。この研究結果によって、種の喪失が生態系の長期持続と機能に及ぼす影響が浮き彫りになっただけでなく、生物多様性を回復・保全すれば食物網を復元できる可能性が明らかになった。過去・現在・未来における生態系ネットワークの研究に役立つ枠組みが提供されたことになる。人間の活動は、今も生物の絶滅や減少を引き起こしており、それが食物網の崩壊を通じて、地球規模の生物多様性や生態系機能に連鎖的な影響を与えている。これは現代に限った現象ではない。約13万年前の最終間氷期以降、広範にわたる絶滅や種多様性の減少が、多くの動物群で見られており、特に陸生哺乳類で顕著である。しかし、こうした生物減少が食物網に及ぼす影響を理解するのは難しい。種ごとの捕食者‐被食者関係が化石記録に残ることはめったにないからである。こうしたダイナミクスに対する理解を深めるために、Evan Frickeらは、絶滅・現存哺乳類の特徴や、地理的生息域、捕食者‐被食者関係を網羅する地球規模のデータベースを作り、機械学習の手法を用いて、後期更新世以降の陸生哺乳類の食物網における変化を地球規模でモデル化した。最終間氷期以降、陸生哺乳類種の約6%しか絶滅していないにもかかわらず、Frickeらは、地球の食物網の半分以上が失われたことを見出した。特に食物網が急激に減少したのは、その地域に初めて人間が登場した後と、欧州諸国による植民地化のようなグローバル化が起こった後だった。さらに、地球の食物網減少の多くはずっと以前に起こった絶滅に由来していたが、現存する哺乳類の生息域減少も同程度の減少をもたらすことから、生物の自然生息域を復元すれば、複雑な食物網がかなり復元できることが示唆される。関連するPerspectiveではEoin O’Gormanが、「(Frickeらの)深層学習アルゴリズムの精度を上げれば、よく使用される相対成長モデルや系統発生モデルよりも優れた性能を発揮し、摂食の相互作用を予測できるだろう」と述べている。「機械学習によって複雑な食物網の構造を研究・モデル化する試みは目新しいものではないが、この分野ではいまだに標準的ツールになっていない。」


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