最近カナダと米国で大発生が確認されたことから、高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIv)の株の1つであるH5N1が、急速に世界的な懸念となってきている。このウイルスはすでに、アジア、アフリカ、欧州で広範な大発生を引き起こしており、家禽と野鳥が数百万羽死亡した。本号のPerspectiveで、Michelle WilleとIan Barrが、世界的なH5N1 HPAIvの大流行をもたらした要因、この蔓延の結果、およびそれを抑制するために何ができるのかについて議論する。「現在生じている鳥インフルエンザH5N1の2021~2022年の波は、急速な蔓延と、家禽と野鳥における非常に高い大流行の頻度という点で前例のないものであり、ヒトの脅威となる可能性が継続している」と著者らは述べている。2020年以降、高病原性鳥インフルエンザウイルスが世界中に蔓延している。このようなウイルスは、密度の高い家禽生産システムで出現することが多いが、野生の渡り鳥にも感染する可能性がある。特定の系統、H5N1が、最近の感染の波の原因であり、ユーラシア、アフリカ、北米で確認されている。このウイルスは、鳥類の集団では致命的となる可能性があり、すでに野鳥の集団死を引き起こし、集団全体(特にすでに絶滅の危機に瀕している集団)を脅かしている。また、ウイルスはすでに家禽類の生産に大きな影響を与えている。2020年と2021年だけで、約1500万羽の家禽がHPAIv感染により殺処分されるか死亡した。おそらく最も懸念されるのは、ウイルスがヒトに感染する能力である。過去20年間のトリからヒトへの感染はまれであり、持続的なヒトからヒトへの伝播はまだ確認されていないが、高病原性鳥インフルエンザウイルスはパンデミックの潜在的リスクである。現在のウイルスがさらに適応すれば、ヒト間で効率的に伝播する能力が高まる可能性がある。WilleとBarrは、これを回避するために、国際保健・農業組織が、特にヒトが関与する環境において、鳥インフルエンザのそれぞれの集団発生を真剣に受け止める必要があると主張している。WilleとBarrはその他の対策として、ヒトと家禽の接点における野生の鳥と家禽の調査およびヒトの調査への継続的な投資を呼びかけている。また、HPAIvの野生鳥類へのスピルオーバーを防ぐために、群れの大きさと密度を減らし、水鳥が多い地域では家禽の生産を避けるなどの対策が提案されていることに言及している。
Article Title
Resurgence of avian influenza virus
Article Publication Date
29-Apr-2022