哺乳類は脊椎動物の中で体の大きさに占める脳の割合が最も大きいが、他に例を見ないこの大脳化は哺乳類の進化の中でどのように起こったのか。Ornella Bertrandらによる新しい研究で、有胎盤類は、恐竜が絶滅して地球全域に動物が拡大した後、初めに体が大きくなったという結論が出た。彼らによると、暁新世(6,600万~5,600万年前)の有胎盤類は体重がとても速いペースで増加したため、初めは脳の相対的な大きさが縮小したという。しかし始新世(5,500万~3,400万年前)には有胎盤類の脳は再び大きくなり始めた。Bertrandらは、ニューメキシコ州のサン・ファン盆地とコロラド州のデンバー盆地で最近発見された暁新世の哺乳類の頭蓋のCTスキャンとそれと同年代の他の哺乳類の頭蓋のCTスキャンを使って、これらの傾向を追跡した。彼らは、脳全体の大きさに加え、大脳新皮質や嗅球といった知覚に関与する個々の頭蓋構成部の大きさを測定し、それらの構成部の経年変化を調べた。結論として、「有胎盤類種はまず体が大きくなり、恐竜がいなくなった生態的地位に入って拡大した。続いて始新世に競合相手で飽和状態の生態系で、認知能力の向上がさらに重要になるにつれて大脳化した」と彼らは述べている。とりわけ始新世の有胎盤類では、嗅球をなおざりに、眼球の動きに関わる大脳新皮質と脳の構成部が大きくなった。関係するPerspectiveではFelisa Smithが、哺乳類の大脳化への過程が大進化における他の要素の中の生態系の重要性の解明にどうヒントになるかを述べている。
Journal
Science
Article Title
Brawn before brains in placental mammals after the end-Cretaceous extinction
Article Publication Date
1-Apr-2022