News Release

新たな「全人類の系図」によって人類の包括的理解が可能に

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、多数のデータセットにまたがる何千もの現代および古代のゲノムを統合することによって、過去最大の人類の系図が構築されたという。この新しい「全人類の系図」は、人類史における重要事象や、それが発生した時期および地理的位置を知るうえでの手掛かりとなるものである。現代および古代のゲノムは非常に貴重なツールであり、このツールのおかげで、地球における人類の進化や人類集団の長い歴史に対して、大幅に理解が深まった。これまでに、数多くのヒトゲノムが収集されている。しかし、データの取得方法の違いや、品質のばらつき、分析方法に固有の限界などがあるために、おびただしい数のゲノムを比較するのは難しく、特に断片化した古代DNAでは困難である。そのうえ、各ヒトゲノムには、さまざまな年齢の複数の祖先に由来する断片が含まれている。その結果、人類史における系図やゲノム変異の全体像を解明することは、技術的にかなり困難であり、それ故にまだ解明はなされていなかった。この問題に対処するため、Wohnsらは、現代および古代のゲノムに対してノンパラメトリック系図記録法を適用し、現代および古代の人類について包括的な系図を推測した。この方法では、215以上の人類集団から得られた3500人分以上の現代ゲノムおよび高品質の古代ゲノムと、3000人分の低品質の古代ゲノムを利用し、大量の欠損データ考慮に入れたうえで、断片化した古代ゲノムを用いて対立遺伝子が出現した時期を特定する。この方法を用いてWohnsらが統一した人類系図には、出アフリカ移動のように特徴的な事象をはじめ、人類史における重要な集団事象が記録されている。関連するPerspectiveでは、Jasmin ReesとAida Andrésが「この系図記録法は強力で解析力が高いため、人類やその他の種の進化史について解明が進むことが期待される」と述べている。「今後、進化史を推測する最も強力な方法は、今回の方法を基盤にしたものになるだろう。」


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.