気候変動下での生態系管理には適応可能で橋渡し研究的な手法が必要

Stephen JacksonがPerspectiveで、生態系プロセスに対する静的視点は保護および自然資源管理方法にとっての情報源としてはもはや不十分だと述べている。気候変動の勢いが衰えない中、変化しやすい生態系の管理には適応可能で橋渡し研究的な新しい手法が求められる。Jacksonによると、関係する課題に取り組むには「変化生態学」という科学が必要だという。気候変動に直面し、世界の景観は変化している ―― 北半球の温帯林は灌木地へと移行し、北極圏ツンドラでは森林が新たに出現し始めている。目に見えるこれらの変化について科学界では関心が高まっているが、その大半は安定した生態学的状況間の転換点を特定することが焦点となっている。しかし、生態系の変化は非常に動的で複雑なプロセスであり、様々な時間尺度で徐々に起こりうる。さらに、保護活動や資源管理には現在の文化的、政治的、歴史的および制度的障壁が深く根差しており、それによって現行の手法の改善は特に困難になっている。それでもなおJacksonは、生態学的状況の変化による不確実性に対応するためには適応学習、独創的手法、科学者、政策決定者、利害関係者間の緊密な関係がどう必要なのかを示している。「生態系の変化から予測可能な今後の地球の特徴が明らかになる。現在出現している多くの生態系は一時的なもので、引き続き気候が変動するとともに生態系プロセスが様々な時間尺度でそれに追随するにつれ、生態系はさらに変化すると考えられる」とJacksonは書いている。「科学界や管理および政策決定組織にとって、これらの変化を理解して管理するには効果的で適応可能な手法の実践が緊急課題である。」