新たな研究によると、降着円盤が放出する点滅光から、その中心にある超大質量ブラックホール(SMBH)の質量を明らかにすることができる。今回の発見は、光学観測を使用してSMBHの質量を特徴付ける画期的な方法を提供し、降着円盤内で発生しているが、十分に理解されていない物理過程を制約することに役立っている。降着円盤は、ガス、塵及びプラズマで出来ており、活動銀河の中心にあるSMBHを取り囲んでいる。降着円盤から放出された物質は、ブラックホールに向かって落下する際、加熱により、紫外線及び可視光を含む莫大な量の光を放出する。これらの降着円盤は、それらが含まれている銀河よりもかなり小さく、およそ太陽系の大きさであるが、残りの銀河全体よりも強く光ることがしばしばある。しかしながら、降着円盤は未知の理由により点滅し、広範囲の時間スケールにわたり、その光度が変動する。Colin Burkeらは、降着円盤の光学的変動から測定される特徴的な時間スケールがこれらの降着円盤によって取り囲まれているSMBHの質量と相関があると報告している。今回の著者らは、67個のよく観測されている活動銀河の光学的変動を測定して、これらの変動が顕著に小さくなる時間スケール(「減衰」時間スケールとして知られており、通常、数百日である)を決定した。活動銀河において観測されたSMBH質量のすべての範囲にわたり、この減衰時間スケールがSMBH質量に関係しており、より小さな降着円盤であって、他の天体を取り囲んでいるものにまで拡張して適用される可能性のあることを発見している。「Burkeらの研究で最も興味深い側面の1つは、白色矮星などのかなり小さな天体にその発見が拡張して適用されることであり、白色矮星は類似の降着円盤メカニズムによって光を放出し、降着により増大するミニチュア版SMBHであると見做すことができる」とPaulina LiraおよびPatricia Arevaloは関連するPerspectiveで述べている。
Journal
Science
Article Title
A characteristic optical variability timescale in astrophysical accretion disks
Article Publication Date
13-Aug-2021