2020年にユーラシアとアフリカの野生と家畜の鳥に死亡率の高い継続した進行中の大流行を引き起こした病原体である、高病原性H5N8鳥インフルエンザウイルス(AIV)の出現と世界的な広がりは、重大な公衆衛生上の懸念である。昨年12月に初のヒトのH5N8感染症例が報告されたことを考慮すると、特にそう思われる。Perspectiveで、Weifeng ShiとGeorge Gaoが、H5 AIV系統の出現と人畜共通感染症である可能性について議論している。ShiとGaoは、これらの新しいウイルスの用心深い監視と厳密な感染制御対策が、新たな壊滅的パンデミックの原因となり得るさらなるヒトへの波及を避けるために重要であると主張している。おそらく、過去1年間は現在進行中の世界的なCOVID-19パンデミックに圧倒されていたが、猟鳥と家禽のH5N8感染は、欧州、アジア、アフリカの46ヵ国以上で発見されている。これらの大流行により世界中で何百万という鳥が死んだり殺戮されたりしている一方で、注目すべきことに、ロシアで少なくとも1件の波及事象が生じ、7名の家禽農場労働者がH5N8ウイルス陽性となった。ShiとGaoによれば、AIVは、急速な世界的広がりと種の障壁を超えて人に伝染できることが示されたことで、農業や野生生物保護のみならず、世界的な公衆衛生に対しても大きな懸案事項となっている。ShiとGaoは、家禽農場、家畜市及び野鳥での高病原性AIVの監視を世界的な優先事項とせねばならないと述べている。
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