News Release

細胞の再プログラム化でマウスの不妊を救う

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

マウスおよびヒトの細胞において、3本目の染色体を持つ細胞を再プログラム化することで、結果的にその過剰染色体が消失することが報告された。このことにより、過剰染色体が関係する発育障害や不妊の新たな治療方法の道がいずれ開かれると考えられる。染色体数の異常によって発育の変化や不妊、死亡が起こることは判明しており、染色体異常に関係するそういった疾患の中で性染色体トリソミー(SCT)には人口の0.1%が苦しんでいる。廣田孝幸らは今回、不妊の性染色体トリソミーであるXXYとXYYのネズミの線維芽細胞を再プログラム化して多能性幹細胞(iPSC)を生じさせたところ、その過剰性染色体が高い頻度で消失することを示した。廣田らはこれを「トリソミーバイアスド染色体消失(TCL)」と呼んでいる。修正されたXYの iPSCはマウスの睾丸への移植後、順調に生殖細胞系統になり、染色体が正常で繁殖力のある子孫を作り出せる精子ができた。廣田らはダウン症候群のマウスモデルにおける非性染色体トリソミー、およびヒト細胞トリソミーにおいても、同様の染色体消失が起きることを示した。TCLでは男性から女性のiPSCを生じさせることもでき、性的二形性の遺伝子レベルについてさらなる研究が期待できると廣田らは述べている。加えて、追加研究により、iPSCを用いた疾患モデリングで確認された性差はXやYといった特定染色体への影響に起因する可能性があるとしている。

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