グローバル世界において北と南のデータ共有をより公平なものにする方法 Ways to Make Data Sharing Between the Global North and South More Fair 低・中所得国(LMIC)の多くの研究者たちは、オープンデータ・ポリシーを受け入れることをためらっている。このPolicy ForumでDavid Serwaddaらは、このためらいの背景にある懸念を明らかにし、オープンデータセットをめぐる信頼性と平等性を促進するための方法を示している。例を挙げると、LMICの一部の科学者たちは、オープンデータを採用すると自国の所有権が侵害され、得られたデータを北の研究者が隠して自国に持ち帰ってしまうという、いわゆる「パラシュート調査」への道がふたたび開かれるとの懸念を表明してきた。また、オープンなデータ共有を行うと、南の研究者が発表の機会を得る前に、リソースに恵まれた北の施設の一部の研究者が先に発表してしまうことになってしまう。著者らによれば、研究への寄与に関していかに認識度と信頼度を与えるかについてのパラダイムシフトが必要であるという。そこで提案しているのが、オープンなデータ共有を義務付けているジャーナルは、一次データを提供している研究者や研究グループを正式に認証することである。さらに著者らは、LMICにおけるオープンデータセットの管理、データ分析のトレーニング、ならびにデータの処理および保存のためのインフラに対するドナー投資を増大させることで、平等性と相互性が改善されるであろうと述べている。加えて著者らは、世界保健機関(WHO)などの組織を通じて、国際的なポリシーの枠組みをつくることの必要性を強調しており、これにより、現在は不十分なLMICにおけるデータ共有ポリシーに関する国レベルでの対応、能力開発および運用可能性も促進できるとしている。
Note: This paper will be available for free when the embargo lifts at http://www.sciencemag.org.
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