研究者らは、血中カルシウム濃度が高まると反応して、皮膚上に見えるようになる生物医学的「タトゥー」を開発した。このタトゥーは、血中カルシウムの高濃度(高カルシウム血症)に関連する疾患の早期発見を最終的に可能にするかもしれない革新的な診断戦略である。科学者らは以前から、疾患予防のためのより先を見越した方法を、例えば注意を喚起し、また定期的な医学検査を促すようなものを開発する必要性を認識していた。新しい診断デバイスの開発は、こうした取り組みの必須の要素の一つである。なぜなら、疾患をできるだけ早期に検出することは通常、臨床転帰の改善をもたらすからである。このような満たされていないニーズに取り組むため、Aizhan Tastanovaらは、高カルシウム血症を検知する植込み可能なセンサーをデザインした。高カルシウム血症は、腎不全を始め、いくつかの種類のがんに至るまでの様々な病態の早期マーカーである。著者らは、血中カルシウム濃度をモニタリングするためのカルシウム感知受容体を内蔵する細胞を作製した。この細胞はまた、持続的に平均値を超えるカルシウム濃度を検知するとメラニン(暗色の色素)を産生し、皮膚上に暗色の斑点が現れるようデザインされた。著者らは、作製した細胞を、高カルシウム血症を引き起こす癌性腫瘍を有するマウスと、血中カルシウム濃度に影響しない腫瘍を有するマウスの皮下に植え込んで、この技術の検証を行った。このタトゥーは、38日間の実験期間中に症状を示さなかった高カルシウム血症のマウスにおいて、確かに皮膚上に認められた。このタトゥーはまだ開発の早期段階にあるが、Tastanovaらによれば、最終的に臨床医に対して、一部のがんやその他の疾患を、それらが症状を引き起こす前に検出する新しい方法を提供し得るものである。
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Journal
Science Translational Medicine