環境損害の防止を目的とした規制枠組みがあるにもかかわらず、農薬の使用が今なお昆虫や鳥類、水生動物種を減少させており、その結果、現在の規制プロセスの有効性について疑問の声が上がっている。Christopher ToppingらがPolicy Forumで、農薬政策と確認されたその効果が一致しないのは時代遅れの環境リスク評価(ERA)規則に原因があると述べている。それらは環境政策や生態系の現状の背景にある科学と合致していないのである。欧州連合とアメリカのどちらにおいても、基本的なERAガイドラインは数十年前のもので、基にしている説は現代の農地の動的な生態系についての正確さに欠けている。たとえばERAでは一般的に、気候変動や生息地減少、大規模な地勢均一化が農薬の悪影響を増大しかねないことは説明されていない。Toppingらによると、環境を適切に保護する規制枠組みを実施するためにはERAの抜本的な見直しが必要だという。彼らは農薬規制へのより全体的で総合的なシステムを基本としたアプローチを提案しており、そういったアプローチであれば農薬規制がある中でも多数の農作業を動的な農業生態学要因により上手く合わせられるとしている。この抜本的な見直しには非常に難しい行政機構の改革と現在の保護規制の再評価が必要であるが、そういったシステムを支えるために必要な基礎的な科学、技術やデータはすでに揃っているとToppingらは述べている。
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