病原性微生物に対する部分免疫のみを生じる免疫系が、より強力な菌株の進化を促進していることが、メキシコマシコを用いた新しい研究で明らかになった。この結果は、免疫系が宿主を守ろうとしているとしても、どのようにして不注意にも長期間の間に敵をより強力にしてしまうことがあるのかを明らかにしている。今回、Arietta E. Fleming-Daviesらは、120羽のメキシコマシコの病原性微生物Mycoplasma gallisepticumの一次感染と反復感染について研究した。M. gallisepticumは眼に感染し、視力障害を引き起こして捕食者から逃げる能力を低下させることで間接的にメキシコマシコの生存期間を短縮させる。Fleming-Daviesらは数年間、期間内に回復期間を挟んで、このトリの免疫系が、最初の株と有害性が同じまたはより有害なM. gallisepticum株にどのようにうまく反応するかを検討した。これまでにこの細菌に曝露されたことのあるすべてのトリは、未感染のトリよりも症状の重症度が低かったが、以後の感染に対する免疫性は、有害な株に感染されたトリが最も高かった。Fleming-Daviesらの指摘によれば、一次感染のときに強力な免疫を作らせることで、有害性の高い株は、効率的に、有害性の低い株が宿主に将来感染できないようにしている。Fleming-Daviesらは、モデリングを用いて、この有害性の低い株に対する免疫性が、トリがまったく免疫系を持たない場合に比べて、有害性の高い株をどのように最終的にほぼ2倍多く蔓延させるのかを明らかにしている。
###
Journal
Science