News Release

再び雨が降っても、流域が干ばつから回復するとは限らない

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

流域の流量は干ばつから必ず回復するという仮説を検証するため、オーストラリア南東部を襲った観測史上最悪の干ばつ「ミレニアム干ばつ」の7年後に新しい研究が行われた。その研究報告によると、その地域で被害を受けた流域の3分の1以上が、まだ回復していなかったという。7年たっても乾燥が続く流域のうち、大部分は再び雨が降ってもすぐに回復しそうな兆候が見られなかった。今回の新しい研究結果によって、水文的干ばつが気象学的干ばつの後にいつまでも続きうることが示唆されるとともに、気候変化の影響が拡大して、すでに危機的状況にある水資源の持続可能な利用がさらに難しくなる可能性が浮き彫りになった。一般的な考えでは、再び降水があれば流域は干ばつから完全に回復するとされている。しかし、流域が深刻な干ばつから回復する仕組みについては理解が進んでおらず、問題にされないことが多い。Tim Petersonらは、干ばつ後の流域の回復について理解を深めるために、オーストラリアのミレニアム干ばつ(2001~2009年)を自然実験として利用し、被害を受けた地域内にある160以上の河川流域について、干ばつ以前、最中、以後における年間降水量および季節的降水量と流去水の記録を評価した。Petersonらは、干ばつから7年たっても、被害を受けた流域の37%において流去水が干ばつ以前の状態に戻っていないことを見出した。しかも、まだ回復していない流域の80%で、近い将来に回復しそうな兆候が見られなかった。関連するPerspectiveでは、Flavia Tauroが次のようにと述べている。「深刻な気象学的干ばつの後に、河川流域で回復不可能な水不足の状態が続くとするPetersonらの結論は、水系は撹乱を自然に吸収するという気休めの仮説に異を唱えるものである」「この研究によって、地球の水処理の概念を変える必要性が浮き彫りになった」

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