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ジェット気流も渋滞し、異常気象を引き起こす

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

上空で目には見えない渋滞が起きている。時折ジェット気流の蛇行が続くことで東向きの大気循環が阻止され、それによって熱波のような異常気象が発生する可能性があり、この現象は高速道路上での交通渋滞の力学的原理と非常によく似ていることが新しい研究によって判明した。高高度の上層を流れるジェット気流が気候パターンに及ぼす影響は大きいのである。ジェット気流が持続的に大きく蛇行すれば、大気ブロッキングと呼ばれる現象が起こりうる。このブロッキングの発生についてはまだ解明が進んでおらず、正確に気象を予測する上で今も厄介な問題となっている。中村昇とClare Huangは今回、大気ブロッキングの性質を解明するための新しい方法を構築した。彼らは以前ジェット気流を評価するための測定基準(たとえば、ジェット気流波動の伝播と本当のブロッキングを区別できるもの)を開発し、今回は根本的なプロセスを把握すべく、その測定基準と数学理論を組み合わせた。彼らの研究結果に基づくと、阻止されるジェット気流はまさに車の流れと密度に見立てた交通渋滞のようである。交通量が少ないと大半の車がほぼ制限速度で走るため、交通流は交通密度と釣り合っている。しかし交通量が増えるにつれ、交通流は低下する。つまり大気ブロックと似た状況である。ブロッキングでは東向きの風が減速するだけでは終わらない。たとえば2012年には、極端に蛇行したジェット気流のためにスーパーストーム・サンディが予期しない西向きの進路を取り、ニュージャージー州に上陸した。気候変動によって大気ブロッキングの頻度は変わる可能性があると中村とHuangは言う。それは許容量がピークに達して「渋滞」が発生するジェット気流の傾向が変わることによる。実際に太平洋域ではブロッキングはすでに減少してきているようで、東向きの風が増えたことでジェット気流の飽和状態と言える状況が緩和したと考えられる。

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