News Release

森林のシロアリはどのように干ばつから熱帯林を守るのか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、森林に生息する小さなシロアリの活動が干ばつによる熱帯雨林の生態系への悪影響に大きな効果があるという。これで、降雨のない時期が長期化した際に生態系機能を維持する上でシロアリが重要な役割を果たしていることが明らかになった。この結果から環境が急変する中で1つの昆虫群が森林全体の保護を助ける仕組みが示され、それにより自然生態系の保全の重要性が強調された。シロアリは最も重要な生態系エンジニアの一員として知られている。彼らは林床の有機物、木材、リターを分解し、混ぜ合わせて土壌養分を維持し、水分を調節することで土質を改変している。これら全てが熱帯雨林の生態系の維持に重要な要素である。長期に及ぶ干ばつはこれらの重要な生態系機能を脅かし、木の枯死率に大きく影響する可能性がある。しかし森林のシロアリの生態系に対する貢献全般は数値化されていない部分が多く、また、環境ストレスがかかっている間の干ばつによるシロアリ群の変化が熱帯雨林の生態系にどう影響するかについてもほぼ解明されていないと本論文の著者らは述べている。Louise Ashton らは、2015~2016年の「スーパーエルニーニョ現象」による干ばつ期間とその後、マレーシアの老生熱帯雨林でシロアリの活動を抑制することで、熱帯雨林の生態系機能におけるシロアリ特有の役割を評価することに成功した。Ashtonらは、シロアリ群が存在する地域では干ばつ後に比較して干ばつ中はシロアリの活動と個体数が2倍以上になり、その結果、リターの分解速度、土壌養分混合および土壌水分が上昇していたことを発見した。また、シロアリを抑制した地域では苗木の生存率が減少したという。今回の研究結果により、干ばつ期のシロアリの活動の活発化が熱帯雨林の存続に不可欠な重要な土壌プロセスの緩衝を助けること、および、森林のシロアリ群への人間による影響が今後の干ばつに対する熱帯雨林の耐性を弱める可能性があることが示された。

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