American Association for the Advancement of Science (AAAS)
Jose Garridoらは、アンデスハンタウイルス(ANDV)に感染した生存者から抗体を分離してハムスターに投与したところ、この死に至る感染症に対する防御をもたらした。この抗体は、ハムスターが感染した後であっても投与により防御作用を示したことから、現時点で治癒的治療法のないこの感染症に対して曝露後の予防治療として利用できる可能性が示唆される。ハンタウイルス感染症は、げっ歯類からヒトに伝播するが、死亡率が高いことから大きな懸念事項である。ANDV感染症は、ハンタウイルス心肺症候群(HCPS)として知られる極めて危険な病態に至り、そうなると発熱、頭痛、血圧低下、そして心不全や呼吸不全を引き起こし得る。ANDVウイルスは、南米におけるHCPSの主要原因であるが、ヒトからヒトへ伝播する唯一のハンタウイルスである。いくつかの臨床研究では、中和抗体反応の発現がHCPSからの回復と強く相関することが示されている。Garridoらは、感染してHCPSを発症した生存患者から分離した抗体を治療薬として利用できるのではないかと考え、チリ人のHCPS患者27例から採取した血清サンプルを調べ、分離された抗体がANDVをどの程度中和能を有するのかをスクリーニングした。その結果、1例の患者で特に有望なANDV中和活性が認められ、この患者からメモリーB細胞が分離された。さらにMIB22およびJL16と呼ばれる2つの抗体を調べたところANDVを認識・中和することが分かった。いずれの抗体も投与後に、三日前に致死量のHNDVを接種されていた全てのハムスターでHCPSを予防した。著者らによれば、このことから、これらの抗体は単独でも併用でもHCPS治療の中心となる可能性を示しているという。
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