American Association for the Advancement of Science (AAAS)
人間の活動が高い地域では、哺乳類の移動が3倍も低下し得ることが、新しい研究で報告された。移動が制限されることは、影響を受けた個々の動物のみならず、生態学的相互作用と栄養の分布も変化する場合は生態系全体にも関係がある。現在、地球上の50~70%の土地が人間の活動のために改変されている。Marlee A. Tuckerらは、このような改変の影響をよく理解するため、57種803匹の動物のGPS追跡データベースを解析し、動物の移動とヒト足跡指標(Human Footprint Index:HFI)を比較した。HFIは、構築環境の程度、耕作地、牧草地、人口密度、夜間の灯り、鉄道、道路、航行可能な水路などの複数の人間活動の指標を捉える。Tuckerらは、哺乳類の移動は平均して、ヒト足跡の多い地域では約6.6kmであり、これに対してヒト足跡の少ない地域では21.5kmであったことを明らかにした。注目すべきことに、移動の減少は、動物を長期間追跡した場合に特に顕著であった。このことは、人間は動物の移動速度を変化させているのではなく、長期的に動物の遊動と利用する地域を変化させていることを示唆している。Tuckerらは、モデリングを用いて、個々の動物が自分の移動をヒト足跡に対応して変化させたのか、単純に長距離動く特定の種がヒト足跡の多い地域に生じないのかを明らかにした。結果から、両方の因子が作用していることが示唆された。ヒト足跡の影響に加えて、体重、食性ギルド、リソースの利用可能性も、移動距離に関連していると報告された。
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