バントゥー語を話す人々(BSPs)がアフリカ全土に拡大した際の移動経路と混合パターンについてはこれまでかなりの議論がなされてきたが、今回それが遺伝子分析を使ってモデル化された。その結果、現在サハラ砂漠以南のアフリカの1/3を占めているBSPsがマラリアへの抵抗力や乳糖消化に関連する遺伝子変異をどのように達成したかが判明した。さらに現代のアフリカ系アメリカ人の遺伝的多様性を解く手掛かりも得られた。BSPsの遺伝子の歴史、たとえば、彼らがアフリカ大陸中西部から大陸全土にどのように拡大したのか、また、拡大の過程で有利な遺伝子を獲得したのかなどについては、ほぼ未解明である。Etienne Patinらはさらなる洞察を得るために、アフリカ全土57民族の現代アフリカ人2,055人における合計548,055の質の高い単一ヌクレオチド多型を解析した。Patinらはモデル化ソフトウェアを用いて、これまで議論されていた点、BSPsはまず熱帯雨林を通過して南方へ移動し、その後さらに南や東に移動していたことを確認した。熱帯雨林を経て拡大する際、約800年前、BSPsは熱帯雨林に住む地元の狩猟採集民(RHGs)と出会い、結果そこで混合した。データの分析により、特定の免疫系に関連する遺伝子など、BSPsが他のアフリカの人々から獲得したと考えられる適応遺伝子を特定することができた。最後にPatinらは、北米の現在のアフリカ系アメリカ人に対するBSPsの遺伝的関与について解明を進めるために、北米大陸の様々な地域の5,244人のアフリカ系アメリカ人について彼らのアフリカ人祖先を推定した。Patinらはその他の研究結果として、これらの地域のアフリカ系アメリカ人は約16%西部RHGの祖先を保持していると報告しており、このことはアフリカ系アメリカ人がこれまで考えられていた以上に遺伝的に多様であることを示している。
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