News Release

脳はどのようにして言葉と歌を区別しているのか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ヒトが用いる音の中でも最も独自のものである言葉と音楽の知覚は、異なる大脳半球において歌の音響的構造に特異的な特徴に反応するよう特化して適応したニューロンシステムによって可能になっていることが、新たな研究により報告されている。ヒト脳の二つの大脳半球が言葉と音楽に対して異なる反応をしていることは数十年前から知られているが、この研究では独自のアプローチを用いて、どうしてこのような特異性が存在するのかを明らかにし、それが感覚刺激における音響情報の種類に左右されることを示している。音楽と言葉は多くの場合、互いに切り離せない形で関係し合っているため、ヒトにとって単一の連続した音波において旋律と言葉を切り離して認識するという能力には大きな困難が伴う。現在、言葉の知覚は短時間の一時的な時間変調を処理する能力に強く依存しているのに対して、旋律の知覚は周波数変動など音のスペクトル構成の詳細な処理に依存すると考えられている。これまでの研究では、左および右大脳半球のニューロンが、それぞれ言葉と音楽の処理に特化していることが示唆されている。しかし、脳におけるこのような非対称性が、言葉と音楽における異なる音響的特徴によるのか、それとも脳内領域の特異的なニューロンネットワークによるのかは、依然として明らかでない。Philippe Albouyらは、オリジナルの10の文章をオリジナルの10の旋律と組み合わせて100曲のアカペラ(無伴奏の歌)を作成し、時間(言葉)領域とスペクトル(旋律)領域の聴覚情報を組み込んだ。著者らは、歌に操作を加えて、それぞれにおいて時間領域とスペクトル領域のいずれかを選択的に減弱させられるような録音方法を用いた。その結果、時間情報を減弱させると言葉の認識が障害されるが、音楽の認識には影響がないことが明らかになった。他方、旋律の知覚が障害されるのは、歌においてスペクトル情報を減弱させた場合のみであった。同時に行ったfMRI脳スキャニングにより非対称的なニューロン活動が示され、言葉の情報の解読は主として左脳の聴覚皮質で行われていたのに対し、旋律の情報は主として右脳で処理されていた。関連するPerspectiveでDaniela Sammlerは、この研究で得られた所見について詳細に論じている。

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