News Release

抗サイトメガロウイルス血清は幹細胞移植後の致死的な感染症を予防する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らはマウスモデルを用いて、サイトメガロウイルスに対する効果的な治療薬を開発するための標的候補となる経路を同定したと、新たな研究が報告した。サイトメガロウイルス感染は多くみられるが、幹細胞移植を受けた患者にとっては致死的となり得る感染症を引き起こすウイルスである。この結果は、潜んでいたウイルスが休眠期の後に再活性化するメカニズムを同定し、新たな臨床アプローチを開発するための容易に応用可能な戦略を明らかにしている。サイトメガロウイルス(CMV)は、ほとんど至る所に存在するヘルペス型ウイルスで、健康な成人のほぼ60~90%に認められると推定される。他の種類のヘルペスウイルスと同様に、CMVは休眠状態になって、後に再活性化するまで作用を及ぼすことなく体内に存在することがある。CMV検査陽性を認める人のほとんどで、ウイルスが存在しても心配する必要はない。すなわち、感染は軽度で、免疫系の監視下におかれる。しかし、免疫抑制状態の強い人、例えば骨髄または造血幹細胞移植(BMT)を受けて回復期にある患者では、CMV感染およびその再活性化は致死的なものとなり得る。移植後のCMV感染は大幅に生存率を低下させるにもかかわらず、CMVに対する効果的なワクチンあるいは抗ウイルス薬の開発にはほとんど成功していない。現在の治療は、その毒性と薬物耐性株の登場により制限され、CMV疾患を予防することよりも軽減することに焦点を当てている。さらに、潜伏期間後のCMV活性化を再現できる前臨床動物モデルは、十分なものとは言い難い。この必要性に取り組むため、Jose MartinsらはBMT後のウイルス再活性化を再現する前臨床マウスモデルを開発し、CMVを休眠状態に保つ上で液性免疫が決定的な役割を果たすことを発見した。MartinsらによればCMVの活性化は、感染しているウイルス株にマッチさせた抗体を含有する免疫血清を投与することで受動的に予防されたという。投与された血清は、ドナー由来のB細胞が代役を果たさなかった減弱した抗ウイルス抗体の代わりとして機能し、ウイルス活性化を阻止した。関連するPerspectiveで、Maria-Luisa Alegreがこの研究の意義についてより詳細に論じている。

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