携帯式の迅速プラットフォームにより、患者サンプルを用いて15分で淋病(淋菌感染症)の検出が可能になり、これまで数時間から数日かかった標準検査法と比べてはるかに速くなった。このプラットフォームは、ボルチモアとウガンダの性感染症クリニックの患者サンプル217個において、淋病と、一般的な抗菌薬に対する耐性を高い精度で同定した。この迅速かつ安価な技術により、低資源地域における淋病検査の迅速性と利用可能性を高めることができ、同時に薬物耐性株の拡散との闘いに有効であると期待される。淋病やその他の性感染症(STI)の発生率には世界的に急増しており、現在世界では推定で毎日百万人がSTIに罹患している。医師は特に淋病に対して懸念を抱いているが、それは原因菌である淋菌(Neisseria gonorrhoeae)において標準抗菌薬に対する耐性が急速に増加しているためである。さらに、現在の淋病検査は高価で、結果が出るまで何時間もかかり、患者にとって適時の診断と適切な抗菌薬治療を受けることが難しい。このため、より迅速かつ安価な検査が、検査能力が低い一方で薬剤耐性菌による淋病の負担が高い低所得国では特に、緊急に必要とされている。Alexander Trickらは今回、PROMPTプラットフォームという、淋菌の検出と抗菌薬シプロフロキサシンに対する耐性の評価を両方行う、カートリッジ式のPCR検査デバイスを紹介している。ボルチモア(メリーランド州)で採取した陰茎スワブ66個およびカンパラ(ウガンダ)で採取したスワブサンプル151個にPROMPTを使用したところ、15分間で淋病が検出され、その感度は97.7%、特異度は97.6%であった。Trickらは自分たちの研究に限界があると指摘し、このプラットフォームについて膣および尿サンプルで検証すること、またカートリッジシステムを改善することが必要であるとしている。「そうだとしても、(今回の)進歩は…迅速なゴールドスタンダードの感染症診断ツールを、拡張性と利用可能性の高いフォーマットで提供できる有望性を示した」と、著者らは結論付けている。
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Journal
Science Translational Medicine