News Release

鎮痛薬は内部から効果的に作用する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Pain Drugs Work More Effectively, From the Inside

video: Nigel Bunnet explains in detail how his research could lead to more effective pain treatments. view more 

Credit: Professor Nigel W. Bunnett, Columbia University

ニューロンの疼痛伝達に関する新しい知見が明らかになった。これは、オピオイドの代替物および有効性の高い鎮痛薬の開発に役立つと考えられる。約5分の1の人が人生のいずれかの時点で慢性疼痛に悩まされる。既存の治療は疼痛を十分に緩和できず、危険で望ましくない副作用を引き起こすことが多い。このことは、現代のオピオイド流行に関連した薬剤誘発死の急増により注目されている。GPCRと呼ばれるクラスの細胞受容体が疼痛伝達の全段階を制御しているが、GPCRを標的とする鎮痛薬のほとんどは臨床試験で失敗している。その理由は依然として不可解である。GPCRは通常、外から内へ情報を中継することで細胞表面から効果を発揮していると考えられている。今回、Dane Jensenらが、サブスタンスPニューロキニン1受容体(NK1R)と呼ばれるGPCRが、ニューロンの内部からもシグナルを出してニューロンの興奮を維持し、疼痛を伝達していることを明らかにした。NK1R内在化を阻害するとラットの疼痛が緩和されたが、このような治療戦略は、ヒトの重要な生理学的プロセスを妨げてしまう可能性が高い。この障害を克服するため、Jensenらは、NK1R阻害薬をコレスタノールという特別な分子と結合させることで、細胞内のシグナル伝達を狙い撃ちできるようにした。これによってラットの疼痛が持続的に緩和でき、この改変化合物の鎮痛効果は表面で作用する薬剤よりも4~6倍長く持続した。Jensenらは、これまでの薬剤は細胞内のNK1Rに効果的に到達できなかったために臨床的に成功できなかったのだろうと述べている。内在化したGPCRを標的とした新しい薬物送達パラダイムは、慢性疼痛を良好に治療できると考えられる。

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