新しい研究によって、人は一般的な意味で「you」という言葉を使用することで、負の経験から心理的に距離を置いて―意味を見いだして―いることが実証された。「you」という言葉は、だれかに直接話しかけるときに使用されることが多い(例えば「How are you?(元気ですか?)」)が、人一般について普遍的なことを述べるときにも使用される(例えば「勝つこともあれば負けることもある」)。Ariana Orvellらは「you」の使われ方をさらに詳しく調べることにした。最初の3つの実験では、参加者に対して、この言葉が人一般または個人の意味で使用されていることを示唆するような、少し表現の異なる質問をした。例えば、人一般の条件では参加者に「What should you do with hammers?(ハンマーをどうすべきですか?)」と質問し、個人の条件では参加者に「What do you like to do with hammers?(ハンマーをどうしたいですか?)」と質問した。人々が実際に「you」を人一般の意味で使用することを確認した後に、研究者らは無作為に参加者を振り分け、個人的に負の経験または正でも不でもない経験のどちらかについて書いてもらった。正でも不でもないグループでは総称的な「you」を使用したのはわずか6%だったのに対して、負のグループでは56%の参加者が使用した。次に、2つの参加者グループに対して、個人的な負の経験について書いた後にそこから学んだ教訓について書いてもらうか、または、単に経験について書いてもらうかした。すると、前者のグループのほうが総称的な「you」を使用する傾向が有意に強かった。最後に、参加者に対して、負の経験を総称的な「you」か「I」のどちらかを使って書いてもらったところ、前者のグループのほうが「I」の条件の参加者よりも、その出来事から心理的に距離があると報告した人が有意に多かった。
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