News Release

霊長類だけでなくマウスも伝染性のかゆみの衝動を感じる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究の報告によると、他人が体をかいている姿を見ただけで、自分も体をかきたい強い衝動に駆られる「伝染性のかゆみ」は、マウスにも起こるという。今回の研究では、この奇妙な現象を引き起こす脳の領域も特定されている。社会的にかゆみが伝染する現象は人間のあいだでは広く見られ、サルでも起こることが知られているが、齧歯類に存在するかどうかは不明だった。今回Yaoqing Yuらがマウスをケージに入れて、慢性的なかゆみをもつマウスのケージの隣に置いたところ、衝動的に体をかいている仲間をちらっと見たマウスほど、自分の体をかく傾向が有意に高くなることがわかった。この現象は他のマウスが体をかいている映像をマウスに見せた場合でも起こったことから、聴覚および嗅覚による手掛かりが伝染性のかゆみを引き起こす可能性は排除された。次に研究者らは、脳の領域のうち、マウスが伝染性のかゆみを感じている場合は活動が活発になるが、自然発生的なかゆみの場合は活発にならない領域をいくつか特定した。特に、視交叉上核(SCN)という脳の領域において、神経ペプチドであるガストリン放出ペプチド(GRP)の発現に変化が見られた。SCNにおけるGRPの発現を阻害すると、伝染性のかゆみ行動がなくなるのに対して、この領域におけるGRPの発現を刺激すると、他のマウスが体をかいている姿を直接見ていない場合でも、かゆみを誘発することができた。

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