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血圧を調節するホルモンはサルにおける社会性の鍵となるマーカーかもしれない

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らは、社会行動レベルが低いサルには、あるホルモンの脳脊髄液中の量が少ないことを明らかにした。予備的研究ではあるが、著者らはこの結果を、このアルギニンバソプレッシン(AVP)というホルモンが、自閉症スペクトラム障害(ASD)などの疾患にみられる社会行動障害を軽減するための薬物を開発する上で標的となりうる可能性を示唆するものと考えている。ASDは米国の小児の68人に1人でみられ、年間約2,360億ドルの費用がかかっている。しかし、ASDは患児で直接研究することが難しく、またマウスモデルではこの疾患における複雑な社会的認知の多くの側面を捉えることができない。その上、ASDの検出および治療のための検査診断ツールや承認薬物は存在しない。Karen Parkerらは、ASD患児にみられる社会障害の幾つかの側面をより正確に反映する、社会性の低いサルモデルを作製した。著者らは42匹の雄性サルの行動を研究して、グルーミングやその他の社会活動にかける時間の少ない、社会性の低いサルを特定した。次いでParkerらは、社会性の低いサルと高いサルのあいだに生物学的な差がないかを明らかにするために、いくつかの分子の濃度を測定した。注目すべきこととして、社会性の低いサルでは脳脊髄液(CSF)中のAVP濃度がより低く、この発見は別のグループのサルでも再現された。著者らは7人のASD患児グループのCSFサンプルも調べ、これら患児でもASDでない小児と比べてAVP濃度が低いことを発見した。著者らは、さらなる研究によって、今回の予備的結果をより大幅に大規模な患児集団で再現し、またCSF中AVP濃度にASD成人でも差がみられるかどうかを評価すべきである、と述べている。

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